ダフロン

2006年07月02日

神様のパズル/機本伸司

4758432333神様のパズル
機本 伸司
角川春樹事務所 2006-05

by G-Tools

【留年寸前の綿貫が教授から命じられたのは、不登校の天才少女・穂瑞沙羅華をゼミに参加させること。「宇宙を作ることはできるのか?」そう尋ねると彼女は本当に宇宙を作り始めようとして・・・】

「宇宙は"無"から生まれた」と彼は言った。
「すると人間にもつくれるんですか?
 "無"なら、そこら中にある――」

あるあ・・・ねーよ!www


大学の教授さえ持て余す天才少女・穂瑞沙羅華。
綿貫基一は単位のために彼女の世話役を任される。
巨大事業の建設に関る大人たちの軋轢に巻き込まれる中、
「宇宙を作る」という、およそ現実的でないテーマを主軸に、
ハードなSFかと思えば、ダメ大学生と天才少女の青春物語。

始終、男言葉の天才美少女・穂瑞がつねに場面の主核。
天才独特の感性で、人間関係に未熟なのはお約束ですが、
美少女の口から「超ひも理論」や「ゲージ粒子」といった物理用語がスラスラ出てくるのは妙に萌えるものがあります。
ただ、お供の綿貫があまりにもお粗末キャラ。

この腑抜け!

なんというか徹底的に傍観者であり、金魚のフン。
女のケツにくっついて、ぶらぶら揺れてるだけのクソ野郎。
主人公とは思えないほど意思も、信念も感じられない。
むしろ彼女を利用するだけの冷たい人間じゃない?

凡人のお前がやるべきは、人間性に疎い穂瑞に、
人としての仁義や道義を叩き込むべきじゃないのか!
そして彼女が傷ついてるのが分かっていて、
何故、「俺は穂瑞を信じてる」の一言が言えない!!
お前が味方になってやらなきゃ、誰が彼女を救ってやれる!

宇宙より女だろ!

宇宙を救うよりも、女一人救えないでどうする。
難しい物理用語なんて飾りです。酔っ払いのたわごとです。
そんなの話にリアリティを与えるためのガジェットですよ。
この物語が伝えるのは、宇宙創生なんてマクロな神話でなく、もっとミクロでちっぽけな存在である人間の営み。
「自分とはなにか?」という世界一価値のない命題。

結局のところ、穂瑞は自分で自分を追い込み、
一人で勝手に自爆して、自らの力で解決したんだと思う。
孤独に耐える穂瑞が健気で同情してしまった分、
綿貫×穂瑞のラヴ要素が少なかったのは勿体ない。

これ映画化、ゲーム化決定っぽいですが、どうやんだよ。
posted by 愛咲優詩 at 00:00| Comment(0) | TrackBack(2) | 角川スニーカー文庫 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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