ダンタリアンの書架7 (角川スニーカー文庫) 三雲 岳斗 Gユウスケ 角川書店(角川グループパブリッシング) 2011-03-31 by G-Tools |
幻書の封印のため、名門女子寄宿学校を訪れたダリアン。世話役として手配されていたのはジェシカだった。女生徒の集団に発見・蹂躙されたダリアン。一冊の幻書が失われていることに気づいた二人は、大捜索へ!
いつか会えるその日まで
人の欲望に応え、不思議な力を発揮する悪魔の本が巻き起こす事件を追う少女と青年の物語。
◆第一話 災厄と誘惑
持ち主に災いを招くと言われる魔導書の鑑定を依頼されたヒューイが風邪でダウンしてしまうのですが、珍しく甲斐甲斐しく看病してくれるダリアンが可愛らしすぎて、それでいて頓珍漢な民間療法を次々と試すところがおかしくてたまらない。幻書の正体や事件の真相は予想がつくものでしたが、男にとって女こそ災いであるという寓意がエピソードに込められているように感じた。
◆断章一 型録
碌な顔がないが、短時間だけ取っ換え引っ換えし続ければなんだか面白そうな、やっぱ嫌だ。交換した顔に影響されて悪事を考えるようになっていく平凡な男がちょっと怖かった。
◆第二話 叡智の書U
読み手に優れた知性を与える『叡智の書』を手に入れた女性が、新兵器を開発したことで命を狙われたりするのですが、あくまでも人々の夢と平和のためにその知力を使う彼女の姿が清々しかった。
やはり技術も武力も結局はそれを使う人の心がけ次第で人々を悲しませも、喜ばせもするんだろう。
ただまあ、それを周囲に分かってもらうためだけなら、こんなに大事にする必要はなかったのでは。
◆第三話 少女たちの長い夜
ヒューイの不在の間に回収した幻書をなくしてしまったダリアンが、居合わせたジェシカと一緒に幻書を求めて学園や街中を奔走するドタバタっぷりが愉快でした。
微妙な能力しかない手持ちの幻書を上手く使って追跡するダリアンの閃きと複数の幻書を組み合わせて使うことを思いついたジェシカの機転が光っていた。ダリアンとジェシカも案外いいコンビかも。
◆断章ニ 模倣の書
人間、見た目さえよければそれでいいじゃん。中身は調教とかして自分好みにできるんだし。そういう鬼畜な事を考えているから俺の側には女性が寄ってこないのか……。
◆第四話 鍵守
深読みして未来の時代か、ダリアンのいない平行世界の話かと思ったら、単純に過去だった。
ヒューイの子孫か、娘かと思ったらお前かよ! アントワネットちゃん(12)可愛い!
徐々に明かされていくダリアンの秘密が興味深いですね。そうかギリシャ神話にも繋がってたのか。
しかし、パートナーのことよりも揚げパンの方が優先度が高いとか……それでこそダリアンだ!
月刊スニーカーの廃刊により、これにて連載分は終了ということですが、シリーズ自体はまだまだ続くようなので、本編もコミッックもTVアニメもこれからだ!