デート・ア・ライブ 十香デッドエンド (富士見ファンタジア文庫) 橘 公司 つなこ 富士見書房 2011-03-19 by G-Tools |
四月一〇日。五河士道は今日もいつも通りの日常が始まると思っていた。精霊と呼ばれる少女と出会うまでは。突然の衝撃波とともに、跡形もなく、無くなった街並み。クレーターになった街の一角にその少女はいた。世界から否定される少女を止める方法は二つ。殱滅か、対話。
世界を救う、戦争という名のデート
世界を壊す精霊とデートしてデレさせて世界を救う新感覚セカイ系ボーイミーツガール。
世界を救うために女の子と恋愛する話と聞いてセカイ系かと思ったら、これなんてギャルゲ?
この世に出現する際に大災害を起こすために人々に忌み嫌われる精霊の少女・十香と出会った主人公・士道が、世界の敵という偏見を越えて彼女の寂しさを理解する唯一の味方となっていく姿に心打たれた。
『蒼穹のカルマ』で王道ファンタジーをぶち壊した作者が、今度はセカイ系をメタってきやがった。
たった一人で世界を滅ぼすほどに強大な力を持つ精霊に対する人類側の秘策が、「精霊に恋をさせて世界を好きになってもらう」という、なんともおふざけ感溢れる作戦で、その相手役に選ばれた士道の恋愛経験を鍛えるために恋愛シミュレーションをさせたり、組織ぐるみでサポートして、イベントごとの選択肢をあーでもないこーでもないと議論している光景がとてもバカバカしくて、ついつい笑ってしまった。
士道を支援するはずのスタッフのサポートがこれまたまったくアテにならないから困るんですよねぇ。
それでもなんとか精霊・十香とのアプローチに成功して、デートに誘うまで漕ぎ着けれたのも、彼の真剣さと、本当は彼女もこの世界や誰かに自分の存在を認めて欲しいと思っていたからでしょう。
世界の素晴らしさを体感して、士道がこの世界の居場所になっていく十香がとても可愛かった。
妹ちゃんはどうしてあんなに残念になってしまったのかなぁ。そして鳶一一族はまたかませ役ですか。こちらの鳶一さんは、もう一人の鳶一さん(笑)と違って実にイイですね! 攻略したい。
まあ士道のニューゲーム能力とか、十香が最初から女の子らしいパーソナリティを持っているところとか、細かいリアリティについてはツッコミどころもあるけれども、ギャルゲだと思えば受け流せるレベル。
すでにシリーズ化するらしいけど、さらに登場する精霊娘を片っ端からフラグを立てていく話になるのかな、愛が重い子ばかりだけど、いつか刺されるんじゃ……ハッ!死なない…だと……!?