はたらく魔王さま! (電撃文庫) 和ヶ原 聡司 029 アスキーメディアワークス 2011-02-10 by G-Tools |
世界征服まであと一歩だった魔王サタンは、勇者に敗れ、異世界『日本』の東京・笹塚にたどり着く。そんな魔王が日本でできること。それはもちろん“世界征服”!!―ではなく、駅前のファーストフード店でアルバイトをしながら生活費を稼ぐ、いわゆるフリーター生活だった!
六畳一間の征服者
勇者に敗れて地球にやってきたフリーター魔王さまが繰り広げる庶民派ファンタジー。
実社会に出て生活するってのは、世界征服や魔王討伐よりも大変なんだよ。
魔力のない地球にやってきて自由に魔法が使えず、六畳一間のボロアパートに住み、地に足をつけて働く魔王・真奥くんや彼を追ってきた勇者・惠美の暮らしぶりの慎ましさに思わず苦笑い。
服装は安物ですませたり、食事はまかないに頼ったり、やけにリアルな生活感が面白かったです。
主人公の魔王サタンこと真奥くんが、普通に親切な好青年で憎めません。
職務に忠実、後輩に慕われ、上司の信頼も厚く、貧乏でもまさに理想のフリーターですね。
元の世界で返り咲くためにマックの正社員を目指す魔王って、なんか間違ってる気がしなくもないが、人としては地道な努力を続けて身を立てようと働く姿に好感が持てました。
そんな魔王の変貌ぶりに戸惑い、彼との決戦を躊躇ってしまう惠美は勇者としても真面目すぎる。
魔王を憎むのにも疲れていたんでしょうね。こちらの社会に順応して仕事と友人を得たことで、これまでの戦いに明け暮れる日々から解放され、彼女自身、安らぎを感じていたんじゃないかな。
宿敵同士なのに脳天気に馴れ合ってくる魔王さまに振り回される勇者さまが可愛かった。
魔王と勇者の痴話喧嘩がよかったけど、ちーちゃんもいいなぁ。三角関係の行方が気になります。
ときに魔王もそこまでエンテ・イスラの征服に興味を持っていなかったように思えたな。というか、どういう思惑で世界征服を目指したのか、魔王側の心情をもっと描いて欲しかったかもしれません。
全体的に読みやすく、ギャグ多めで楽しかったです。しかし、最近まおゆう系ブームきてるなぁ。