ダフロン

2011年02月09日

レディ・ガンナー外伝 そして四人は東へ向かう/茅田砂胡

4044231095レディ・ガンナー外伝 そして四人は東へ向かう (角川スニーカー文庫)
茅田 砂胡 草河 遊也
角川書店(角川グループパブリッシング) 2011-01-29

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美麗な羽をきっかけに知り合ったベラフォード&ヴィンセントとケイティ。そこに猪を担いでやってきた“ごちゃまぜ”のダムーは、食料と共にトラブルも運んできたのだった!ご存じ用心棒四人組の初めての出会いを描く「そして四人は東へ向かう」ほか、全5編を収録。愛と冒険に満ちた珠玉短編集。

 繋がって広がる世界

 動物に変身する異種人類たちの種族を越えた愛と友情を描くファンタスティック・ストーリー。

◆木に登る鰐
 種族の差による恋愛の偏見を怖れず、ミュリエルに告白するヘンリーが格好良すぎる。
 スウェン一家だけでなくお互いの種族を巻き込む騒動にまで発展した情熱的なプロポーズでしたが、鰐と大蛇が見つめ合うロマンティック(?)な光景に思わず苦笑い。間違っても遭遇したくないな。
 ミュリエルも満更でもなさそうだし、お似合いじゃないか。ダムー?そんなバカはいなかったんや。

 翁と刀自の二人がよかった。自分たちは叶わなかった想いを若い二人に遂げさせてあげて欲しい。

◆蒼天に輝く・《鷲》のチェリーザ
 お互いを命の恩人として尊重し合うシルヴァとドーザの男の友情が素敵ですね。
 《獅子》の集落で起きた殺人事件に隠れていた真相にヒヤリ。冤罪をなすりつけられるだけでなく、一部の不心得者のせいであわや多種族との抗争の寸前まで迫っていたとは、事の重大さに驚愕。
 空からやってきたひとつの出会いから、それまで見えていた世界が広がっていくのが感動的でした。

 母君にフルボッコにされて凹まされる《獅子》がちょっと可哀想だが、なんか可愛く思えてしまった。

◆モームと真珠のブローチの話
 義理人情に厚い《水牛》のモームの朴訥な優しさ、大らかさに泣かされます。
 異種人類にはいつも不思議に感じる無形種の文化ですが、価値観が違いますよね。
 男女の考え方にしても、異種人類ならば変身して女性だけで狩りや畑仕事もこなせて自立できるが、無形種の場合は男性が稼がないと女性だけでは路頭に迷う。金が無形種の武器なんですよ。

 モームが本当に感謝したいのはブローチじゃなくて、マァサへの想いに消極的な自分の背中を押してくれたことじゃないかな。異種人類と無形種がお互いによき隣人となれる日も近いでしょう。

◆そして四人は東へ向かう
 出会ったばかりの用心棒四人組の話でしたが、さっそく人騒がせな。
 相変わらず彼らはトラブルを引き寄せる運命にあるのか、それとも彼ら自身がトラブルなのか。
 過ぎたことは気にせず、いつも前向きに生きている気楽な姿が好きです。

 キャサリンは最後まで登場しませんでしたが、異種人類たちの暮らしぶりが覗けるいい短編集でした。

posted by 愛咲優詩 at 00:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 角川スニーカー文庫 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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