月の盾 岩田 洋季 メディアワークス 2006-05 by G-Tools |
【これは『月の盾』がいかにして描かれたかという物語である。それについては僕らは、彼女という天才を彩る舞台装置でしかなかった。これは色なき天才画家、国崎桜花の物語】
「くそったれ!」
どこかにいる絵画の神の首を絞めてやりたかった。
素晴らしい絵画の才に恵まれながら、
この先、多くの人に祝福されるはずなのに、
彼女は黒と白の絵しか描けないなんて―。
まさに絶句する衝撃!
画家として天賦の才を持ちながら、
白と黒以外の色がわからない色盲の少女・国崎桜花。
だが色がなくても、彼女は誰よりも美しい世界を見ている。
ときに自身も傷つける鋭敏すぎる感受性、危うげな純粋さ。
もろく儚い、そんな彼女がこれでもかと惹きつけてやまいッ!
絶望に塗りつぶされた闇夜に輝く希望の月光。
不安も、憎しみも、すべてを優しく包む強さを放ち、
どんな者にも確かにある生きることへの幸福を伝える。
暗闇で彷徨う人々を穏やかに照らして見守る名画『月の盾』。
言葉より涙が・・・
桜花が一枚一枚の絵に込めた、絵を描く喜び。
家族の愛情。恋の戸惑い。そして絶望と希望の二面性。
彼女の描いた『月の盾』が、多くの人々を哀しみから救う。
そして明かされた自分の過酷な宿命と立ち向かう桜花の姿。
ちょっとだけ泣きそうになったのは、ここだけの話だ!(ノ∀`)
脳内ラ界が騒然!
語られていく天才画家・国崎桜花の哀しい境遇と出生の謎。
彼女と、彼女の絵に触れた人々の心の揺れ動き。
それらが渾然一体となって、鮮烈な感動が胸を打つ!
物語を読み進めるたび、しっとりと深みを増していく文章。
見返すたびに発見のある、まさに名画のような傑作!
絵も、音楽も、小説も人に感動と興奮を与える奇跡だと思う。
ただ、ストーリーの中でも訴えていることだが、あくまでも伝えるべきは、人間の強さ、明日を生きる希望であってほしい。
今回のこの『月の盾』は、決して絶望なんかに屈しない、そんなヒロイン桜花のひたむきな想いが込められている!
最近の岩田洋季は「護くん」どうもコメディ路線でアレだが、
今回は、まさしく直球ど真ん中の純愛感動路線!
これこそ「灰色のアイリス」を越える、最高傑作だと評せる!
「狼と香辛料」に比肩する今期ラ大賞の最有力候補作だ!
しかし、このクオリティをどうして「護くん」で出せないんだ・・・。
護くんに女神の祝福を!〈7〉 岩田 洋季 by G-Tools |
灰色のアイリス 岩田 洋季 by G-Tools |