ダフロン

2011年01月23日

とある飛空士への恋歌 5/犬村小六

4094512489とある飛空士への恋歌 5 (ガガガ文庫)
犬村 小六 森沢 晴行
小学館 2011-01-18

by G-Tools

休戦交渉の座に就いた空の一族の要求は、風呼びの少女の身柄だった! 出立の日、カルエルは想いの丈を彼女にぶつける。「このまま逃げよう、ふたりで。空の果てまで」ふたりの選ぶ未来は……。王道スカイ・オペラ、「恋歌」堂々完結!

 世界が奏でる、愛の歌

 空飛ぶ島『イスラ』に乗り、遙か西の果ての新天地を目指す飛空士見習いの少年少女たちの物語。

 これは涙なくしては読めない。愛する少女のために大きく成長したカルエルに拍手。
 度重なる苦難を乗り越えお互いの想いを通じ合えた途端、引き裂かれてしまうカルエルとクレアの運命にやり切れない思いを噛みしめつつ、長かったイスラの旅が終りを迎える光景に感無量でした。
 多くの出会いと別れを繰り返し、先へ先へと前進していく若者たちの未来に幸あれ。

 別れ際までクレアは優しくて強かった。その強さもカルエルを信じていたからでしょうね。
 アリーメンによって解き明かされた世界の奇妙な真実には、ちょっと驚き。そこまでファンタジーな世界観だったとは。いやまあ、空を飛ぶ島が出てきた時点ですでにファンタジーなんですが。
 事象の境界へ消えていくイスラとの別れも感慨深い。イスラもまた苦楽を共にした旅の仲間でした。

 故郷に戻ってからの世界の人々を動かす一世一代の演説には、あのヒネくれていたワガママ王子がよくぞここまで成長したと、胸に込み上げてくる熱い気持ちを抑えきれない。
 憎しみだけでは人は前へ進めない、愛だけが人々の心を一つにまとめて未来を作る力に変えてくれる。まさにカルエルの母親が伝えたかった『愛が憎しみを乗り越える』瞬間でした。本当によくやった!

 冒険が人を変え、歴史を作り、世界を開いていく。きっとそれはカルエルだけでなく、人間だれもが持っている可能性という名前の種子なのでしょう。故郷へと帰っていった友人たちもそれぞれの道で辛いときにはイスラでの暮らしを思い出して頑張って欲しい。アリエルとチハルは悲恋に終わってしまったけれども、その悲しみもいつか前に進む力に変えて欲しいと道半ばで絶えた仲間たちも願っていると思います。

 今巻は戦いらしい戦いもなく、4巻まででの「起承転結」のその後の「終」といった感じでしたが、今回で世界観がより壮大に、ぐっと広がりましたね。語りが足らなかったようなところもあるし、その辺りは次回作に期待かな。

posted by 愛咲優詩 at 00:00| Comment(0) | TrackBack(0) | ガガガ文庫 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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