ダフロン

2011年01月07日

2010下半期新刊10選

 半期恒例の新刊チョイス。今回でついに10回目を迎えました。

 ルールはいつも通り、既刊シリーズを除き、2010年下半期にシリーズを開始した新作&読み切りに限定しています。また作品のナンバリングはランク順位とは関係ありません。

1.“菜々子さん”の戯曲
404159510X“菜々子さん”の戯曲 Nの悲劇と縛られた僕 (角川スニーカー文庫)
高木 敦史 笹森 トモエ
角川書店(角川グループパブリッシング) 2010-08-31

by G-Tools

“菜々子さん”の戯曲  小悪魔と盤上の12人 (角川スニーカー文庫)“菜々子さん”の戯曲 小悪魔と盤上の12人 (角川スニーカー文庫)
高木 敦史 笹森 トモエ

by G-Tools

 可愛いけど腹黒い"菜々子"さんが、身の回りに起きた事件の謎に迫る学園ミステリー。
 ストーリーが進むにつれて、粘着質で陰険な小悪魔の素顔を覗かせていく様子が恐ろしくもありつつ、真実を論理によって導き出していく展開に引きこまれてページをめくる手が止まらない。

2.丘ルトロジック
4044748241丘ルトロジック 沈丁花桜のカンタータ (角川スニーカー文庫)
耳目口 司 まごまご
角川書店(角川グループパブリッシング) 2010-10-30

by G-Tools

 「丘研」ことオカルト研究会の奇人変人たちが巻き起こす、非常識非日常非現実学園物語。
 個性豊かな登場人物たちが、怪しげな都市伝説を追いかけるうちに、一般社会の異端者である自分たちの望む世界を取り戻すために暴走し始める光景に唖然呆然とさせられました。

3.子ひつじは迷わない
404474825X子ひつじは迷わない 走るひつじが1ぴき (角川スニーカー文庫)
玩具堂 籠目
角川書店(角川グループパブリッシング) 2010-10-30

by G-Tools

子ひつじは迷わない!  回るひつじが2ひき子ひつじは迷わない! 回るひつじが2ひき
玩具堂

by G-Tools

 生徒から持ち込まれた悩みを仮定と推論で解決していく学園ミステリー。
 恋愛での悩み、日常の中のちょっとした謎、誤解やすれ違いでからまってしまった問題を謎解きながら、当事者たちがハッピーエンドになるように導いていく展開が好感触でした。

4.月光
4048687220月光 (電撃文庫)
間宮 夏生 白味噌
アスキーメディアワークス 2010-09-10

by G-Tools

 一枚の完全犯罪の計画書を巡る少年と少女の織りなす学園サスペンス。
 ふとした切欠から始まる主人公とヒロインの緊張感溢れる駆け引きが秀逸でした。追い詰めていっているはずが、いつの間にかこちらがのまれそうになる魔性の女に魅せられます。

5.変態王子と笑わない猫
484013555X変態王子と笑わない猫。 (MF文庫J)
さがら総 カントク
メディアファクトリー 2010-10-21

by G-Tools

変態王子と笑わない猫。2変態王子と笑わない猫。2
さがら 総 カントク

by G-Tools

 "笑わない猫"によって建前と本音を失った少年と少女が、取り戻す方法を探すラブコメディ。
 煩悩にまみれた主人公の変態っぷりに苦笑いしながらも、魅力的なヒロインたちの抱える心の問題に真正面から向き合う姿に感動し、彼と彼女らが繰り広げる掛け合いがとても賑やかで愉快でした。

6.ニーナとうさぎと魔法の戦車
4086305674ニーナとうさぎと魔法の戦車 (集英社スーパーダッシュ文庫)
兎月 竜之介 BUNBUN
集英社 2010-09-25

by G-Tools

ニーナとうさぎと魔法の戦車 2 (ニーナとうさぎと魔法の戦車シリーズ) (スーパーダッシュ文庫)ニーナとうさぎと魔法の戦車 2 (ニーナとうさぎと魔法の戦車シリーズ) (スーパーダッシュ文庫)
兎月 竜之介 BUNBUN

by G-Tools

 魔法で動く戦車に乗って襲い来る野良戦車から街を守る少女たちのミリタリーファンタジー。
 戦争によって浮浪児となった少女が、私立戦車隊に拾われ、戦車乗りの一員となって人々を守り、かけがえのない仲間と人としての幸せを得て、困難を乗り越え成長していく姿に目頭が熱くなりました。

7.二年四組 交換日記
4086305739二年四組 交換日記 腐ったリンゴはくさらない (集英社スーパーダッシュ文庫)
朝田 雅康 庭
集英社 2010-10-22

by G-Tools

 問題児だらけを集めたクラスで起こる出来事を交換日記から読み解く、パズル感覚の青春小説。
 クラスメイト35人全員にクセのあるキャラと呼び名を与え、一人一人が別々の行動をしていながらも、最後には一つにまとまっていく手堅い群集劇で、登場人物たちのそれぞれの関係性も興味深かった。

8.ライトノベルの神さま
4086305720ライトノベルの神さま (集英社スーパーダッシュ文庫)
佐々之 青々 羽々 キロ
集英社 2010-10-22

by G-Tools

 ある日、降臨したライトノベルの神様が主人公の現実にラブコメをもたらす王道的ラブコメ。
 ライトノベルでベタといわれるラブコメ的展開をメタに繰り広げるストーリーが、ラノベを読みなれた読者にとっては逆に面白い。ギャグ風味なドタバタ感もあれど意外とピュアなラブロマンス。

9.暴走少女と妄想少年
4796678905暴走少女と妄想少年 (このライトノベルがすごい!文庫)
木野 裕喜 コバシコ
宝島社 2010-09-10

by G-Tools

暴走少女と妄想少年2 (このライトノベルがすごい!文庫) (このライトノベルがすごい!文庫)暴走少女と妄想少年2 (このライトノベルがすごい!文庫) (このライトノベルがすごい!文庫)
木野 裕喜 コバシコ

by G-Tools

 暴走少女と妄想少年が「友達作り」に奔走する青春ラブコメディ。
 完璧超人だけれど性格は協調性に欠ける美少女が、主人公の努力で次第に周囲に人が集まってきて、友達の良さを知っていく。友達っていいなと素直に思える心温まる学園ラブコメでした。

10.僕たちは監視されている
4796678840僕たちは監視されている (このライトノベルがすごい!文庫)
里田 和登 国道12号
宝島社 2010-09-10

by G-Tools

僕たちは監視されている ch.2 (このライトノベルがすごい!文庫)僕たちは監視されている ch.2 (このライトノベルがすごい!文庫)
里田 和登 国道12号

by G-Tools

 「IPI症候群」と呼ばれる患者の為に自らの秘密を切り売りする少女たちの愛と葛藤の物語。
 自分の生活をWEBで配信し、常に誰かに監視されている「IPI配信者<コンテンツ>」の少女たちが、自分らしく生きられないことに矛盾を抱え、葛藤し苦悩する姿がとても切なく胸を締めつけられました。

次点
前略。ねこと天使と同居はじめました。…心温まるハートフルなストーリーがよかったです。
彼女はつっこまれるのが好き!…声優のラジオトークとか好きな人にオススメ。
はい、こちら探偵部です…ペロ、これはトイズ!
ハロー、ジーニアス…まだまだ序盤といったところなので、これからの疾走に期待。
Wandervogel…イラストと内容のハマリ具合がピッタシですね。

総評
 今期は学園ものの配分が多いが、方向性がラブコメとミステリーで別れた印象。
 学園ものとしてはもうどこのレーベルも出し尽してしまった感があり、王道ラブコメへの原点回帰をはかるか、あえていままでにない邪道をいくミステリー作品を一斉に出してきました。
 ライトノベルの主流だった学園ものにもそろそろ行き詰まりが現れ始めたようです。

 今期のビックニュースといえば、このライトノベルがすごい文庫の創刊でしょうか。
 レーベル色としては、読む側にとっては地雷にもなりかねない、非常に個性の尖った作品が特徴。
 レーベル創刊期というのは、独自色が定まらないものですが、ことこの文庫に関しては難物や曲物ぞろいで、他レーベルと絶対に被らない分、活路は開けそうだ。
 ただ特殊すぎて重度のラノベ読み以外の大衆受けを考えてなさそうなのが不安材料でもある。

 その他に、藤原祐の『煉獄姫』、榊一郎の『棺姫のチャイカ』、冴木忍の『ff1 フェアリー・ファイル』、鈴木大輔の『お兄ちゃんだけど愛さえあれば関係ないよねっ』、ろくごまるにの『桐咲キセキのキセキ』、竹岡葉月の『百億の魔女語り』など、既存の人気作家の新規シリーズもまとまってスタートしました。
 新人の勢いに負けない、ベテランならではの完成度の高さが光ります。

 ちなみに『かんなぎ家へようこそ!』、『ふぉっくすている?』、『魔法少女☆仮免許』と一気に3つものシリーズを立て続けに出して、普通なら今期の巨大新人と騒がれてもいいだろう冬木冬樹ですが、正直なところ、周囲のラノベ読みの間ではそこまで話題に登らない。うんまあ、私も上記でタイトルを挙げてないところから理由はなんとなく察してください。実績だけなら凄いと思うんだけどナー。

 こんなところで、まとめ終わり。

過去記事
2010上半期新刊10選
2009下半期新刊10選
2009上半期新刊10選
2008下半期新刊10選
2008上半期新刊10選
2007下半期新刊10選
2007上半期新刊10選
2006下半期新刊10選
2006上半期新刊10選
posted by 愛咲優詩 at 00:00| Comment(0) | TrackBack(0) | ラノベ評論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:


この記事へのトラックバック