微睡みのセフィロト 冲方 丁 徳間書店 2002-04 by G-Tools |
【超次元的能力をもつ感応者と人との間で、拡がっていく憎悪が生みだした、いびつな事件。そのきしみの中で、捜査官パットは、超感応少女ラファエルとともに、真相を追いはじめる。】
男ってそんなもんか
妻と娘を殺した感応者への憎悪。
そして精神ロックが起こす安寧の狭間で懊悩するパットの葛藤が濃ゆ。二百発撃たれても大丈ビなんて、さすが固ゆで卵!
そして人々の平和を願う感応少女、ラファエルの真摯な心根が切なく。母親の贖罪なのか、より崇高な存在に感じた。
サイボーグ兵なおっさんと超能力少女のSFハードボイルド。
「マルドゥック・スクランブル」の原作といわれる沖方の力作。
殻に入った頭部だけの捜査主任のおじいちゃんとか、
あくまでも理性的に狂った敵キャラなども独自キャラでしょう。
いつかどこかで・・・
世界政府準備委員会(リヴァイアサン)と十二の下部組織。
世界保安機構(マークエルフ)、世界連邦軍(マークドライ)・・・
ノヴィア・レポートとか、どこかで聞いた単語が出てきたお。
きっと沖方さんの好きなフレーズなんでしょう。使い回しかよ。
それでなくても専門用語のオンパレードでややこしいのに、
細かい説明はスッ飛ばして展開していくので、真剣に読み解いていかないと時代背景がわからなくなります。
この文章の重厚感こそがハードボイルドなのだけどね。
マルドゥックみたいに中途半端に途切れることもなく。
ストーリー構成が綺麗に一冊にまとまっているのはよかった。
超感応審査員沖方
ときに最近の沖方さん。
新設レーベルの審査員ばかりやっていて、このままじゃ世に出てくる作品が偏るんじゃないか、と危惧する声もありますが。
むしろ、私は沖方シックスセンスを信頼してます。
物語の構成力を重視する作家の中では、まず筆頭ですし。
近頃は、キャラばかり立てることにかまけて、シナリオがいい加減な作品が多いように思います。
レーベルの乱立でラノベ界全体の質を落とさないためにも、審査員としてシビアな評価を期待したい。
先生! それよか安井健太郎の抜擢の方が疑問です!
マルドゥック・スクランブル―The First Compression 圧縮 冲方 丁 by G-Tools |
ラグナロク 獣の系譜 安井 健太郎 by G-Tools |