ダフロン

2010年10月03日

ニーナとうさぎと魔法の戦車/兎月竜之介

4086305674ニーナとうさぎと魔法の戦車 (スーパーダッシュ文庫)
兎月 竜之介 BUNBUN
集英社 2010-09-25

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少女・ニーナが出会った、戦争が生んだ災厄・野良戦車から街を守る私立戦車隊・首なしラビッツ。砲手を欠いたラビッツの隊長・ドロシーは高らかに言い放つ。「今、新しい砲手が見つかった!」

 戦争をぶっ飛ばせ!

 魔法で動く戦車に乗って襲い来る野良戦車から街を守る少女たちのミリタリーアクション。

 これは文句なしに面白かった!苦しくて優しくて切なくて愛おしい少女たちの気持ちが詰まってました。
 戦争によって浮浪児となった少女・ニーナが、私立戦車隊ラビッツのメンバーに拾われ、戦車乗りの一員となって人々を守り、かけがえのない仲間と人としての幸せを得て成長していく姿に目頭が熱くなりました。
 本当に戦うべきはなんなのか、本当に憎むべきはなんなのか、戦争について考えさせられます。

 これまで一方的に虐げられる悲惨な境遇で育ち、いつしか自分以外のすべてを恨むようになってしまったニーナの理不尽に対する憤り、それが傷付いた彼女の心の悲鳴であるかのように聞こえ、幼い少女にそこまで言わせてしまう戦争の爪痕の大きさ、深さに胸が痛みます。
 そんな彼女を受け入れる戦車隊の少女たちが素敵なんですよね。まだ心を開けないニーナを躊躇わずに戦車に押し込んでぐいぐい引っ張って気持ちまで前向きにしてしまう。

 男性よりも女性の方が魔力が強いということで戦車乗りには女性が多いんですが、可愛い女の子たちがいちゃいちゃと戯れているのはイイ! クー×エルザの妄想だけでご飯が美味しくいただけるよ!
 ミリタリーものらしい行軍戦闘シーンの中にも、ファンタジーのような魔法バトルの要素もあり、単純に遠距離から砲弾を撃ち合うだけではない、常識の域を越えた激戦の光景に興奮しました。

 最後のボスラッシュもありえねぇと思いつつ、空想科学的なハチャメチャ感があってワクワクした。
 誰かを憎まずにはいられない状況で、それでもその憎しみに囚われずにいるには、誇り高い覚悟がいる。ニーナに本当に必要だったのは、魔法でも戦車でもなく、そうした"強い心"だったんでしょうね。
 誰かの『戦争』の悲しみが消え去るまで、彼女たちの戦争は続いていくんだろうなぁ。

 いやぁ、これで新人とは思えない。大賞に相応しい作品でしたね。この話はこれで完結なのでしょうか? 続編が読みたい気もしますが、次にどんな作品を書くのかが楽しみですねぇ。
posted by 愛咲優詩 at 00:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 集英社スーパーダッシュ文庫 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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