ダフロン

2010年08月01日

クラッシュ・ブレイズ ファロットの休日/茅田砂胡

4125011168ファロットの休日 (C・NovelsFantasia か 1-54 クラッシュ・ブレイズ)
茅田 砂胡 鈴木 理華
中央公論新社 2010-07

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レティシアのことを死ぬほど恐れているニコラは、実は連邦大学惑星を震撼とさせた連続猟奇殺人事件の犯人のひとりである。そのニコラがレティシアの前に現れて、頼み事を……? 休日のヴァンツァーにぶつかってきた少女ビアンカ。目の見えない彼女の命を狙う誰かがいて……?

 殺人鬼の救世主

 暗殺者一族の二人が、人助けに奔走する休日を描いた中編+短編連作集。クラッシュ・ブレイズ完結。

 これまで人殺しばかりしてきたレティシアとヴァンツァーの二人が、今度は人を救うために動く姿に、変わらないようで少しずつ社会に溶け込んでいっている彼らの成長が見られました。
 それにしてもルーファの使い易さは異常。あの占い師は万能すぎてご都合主義もいいところだが、それを言ったら登場人物全員がチートなのでいまさらであった。

 かつて猟奇殺人事件の犯人でありながら見逃された少年ニコラが、よりにもよってレティや金銀コンビ相手に脅迫まがいの取引を持ちかけてくるんですから、いつ彼らの逆鱗に触れてサクっとやられてしまうのか、ハラハラしっぱなしでしたよ。これだから身の程を知らない子供は恐ろしい。
 事件解決後には、傲慢で尊大だったニコラもちょっとはマトモになり、あのレティが他人に何かいい影響を与えるなんてと思わず感動してしまった。意外と向いてるかもしれませんよ、家庭教師。

 ヴァンツァーが偶然出会ったローリンソン親子の人柄は、あの女嫌いの彼が好意を抱くのも頷ける。
 目が見えなくなったことで本当に大切なものに気づいたビアンカや確固として揺るぎない自分というものを持っているブリジットは、読んでいてこちらの心が洗われるような素晴らしい人たちでした。
 ビアンカを助けに動いたのは、きっと本人も意識してないことだったんじゃないかな。ビアンカであればヴァンツァーにも釣り合うと思うのに、お互いに友達で終わってしまったのが惜しい。

 どうせ完結なら金銀コンビと黒赤ゴジラ夫婦も含めたオールスターで盛大にやって欲しかったなぁ。
 人知れず任務を遂行する暗殺者の話ならばということなのか、いつもよりはちょっと地味だったかもしれませんが、推理小説やサスペンス映画のようで、それはそれで楽しめました。
 一旦、休止というのであれば、またいずれシリーズが再開することを願おう。

 次回は漢字表記のお話を書くということでしたが、カッパで出るのか、他のレーベルから出るのか。
 できれば、角川スニーカー文庫のレディ・ガンナーシリーズの続編もよろしくお願いします……。

posted by 愛咲優詩 at 00:00| Comment(0) | TrackBack(1) | C★NOVELS FANTASIA | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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