![]() | 恋する鬼門のプロトコル (電撃文庫) 出口 きぬごし アスキーメディアワークス 2010-06-10 by G-Tools |
幼い頃から「霊」が見えることで、まわりから変人扱いされてきた、和泉葉介。高校進学を機に、楽しい青春を取り戻そうと決意する葉介だったが、入学式で異様な霊気を放つ女子生徒を見つける。彼の意思とは裏腹に、その彼女―新美たまもと同じクラスになり、しかも接触してしまったことで、死にそうな目に…
彼女はこん、とかわいく恋をして
霊が視える少年、霊に取り憑かれた少女、クセ者キャラたちが入れ乱れるオカルティックラブコメディ。
ユリアちゃんマジ天使。え、ただ言ってみたかっただけですよ?
いままでの自分を変えたいと願う主人公・葉介とヒロイン・たまもが出逢って、すれ違いながら恋を育んで、いつしか平凡な日常生活がドキドキに彩られていくのが甘酸っぱかった。
いつもウキウキ楽しそうなたまもとは裏腹に、チーの一途すぎる愛情が切なかったです。
見た目だけなら美少女だけど、ぶっちゃけ、たまもって、そこまで可愛くないですよね?
性格も幼稚で思い込みが激しくて面倒くさい女のような……。あと空気読めないし、すぐに感情的になってヒスるし、完全無敵美少女ユリアちゃんから乗り換えた葉介の心境の変化がよくわからない。
チーも独占欲が強くて嫉妬深いが、あくまでも無邪気で素直だから許せる。それに寂しがり屋な一面も萌える。ということで、メインヒロインはチーさん。異論は認める。
後半、急展開すぎてちょっとついていけなかった。STPとか100%オカルトなシロモノ、国会に提出したらそこで政治生命終わるような気がするけど、ユリアパパわかってなかったのかな。
ウィラポンも、あんな杜撰な手口しかできないくせに、日本を支配とかよく大言壮語を吐ける。
取引に来た葉介を口封じに殺すとか、いや、どこかで監視されてるに決まってるじゃないですか。罠か、伏兵を前提で動くでしょ、普通。大騒ぎしたわりには黒幕がトチ狂った小物でしょぼん。
つまらないわけじゃないんだけど、冗長な個所が多すぎて消化不良を起こした。
文章をザクザク削りたくて仕方がない。もし俺が編集だったらいまの3分の1以下に減量してやんよ。
というか、あとがきで作者自身『あら削り』って自覚しているなら、もっと推敲と添削を重ねてください。
稚拙とか、未熟とか、謙遜だとしても作者は絶対に言っちゃいけない。だったらそんな作品、読ませるなって言いたくなりますよ。
もうひとつの問題は、クセ者だらけのキャラは面白いのに、それが活かしきれてないところ。
BL少年いわれてる天王寺君は、それほどBL臭はしなかったし、双子も葉介とたまもの周囲でもっとトラブルメイカー的な役割を与えるべき。ユリアちゃんも、葉介へ積極的になってたまもの恋敵に発展してくれるとダブルヒロインになって、さらに読者の興味を引けたかと思います。
きっとプロットがgdgdなんだろう……。いくらなんでももうちょいよくなったはず。最終判断は次回作まで保留にします。採点不可能ですよこんなの。