エアリエル―緋翼は風に踊る (電撃文庫) 上野 遊 アスキーメディアワークス 2010-06-10 by G-Tools |
ある日、政府軍と反乱軍レヴァンテの小競り合いに巻き込まれてしまったカメラマン志望の少年マコト。彼は“赤い亡霊”と怖れられる、レヴァンテのエースパイロットに命を助けられる。しかし驚くべき事に、そのパイロットは、マコトと同じまだ十七歳の美しい少女ミリアムだった。
翔け上がれ自由の翼
見習いカメラマンの主人公と足の不自由な美少女パイロットとの出会いを描くボーイミーツガール。
やはり大空はいい。自由とロマンがそこにあるよ。そして戦闘機同士のドックファイトは胸熱!
反政府組織"レヴァンテ"のメンバーとして一つの家で同居することになった二人。贅沢な暮らしに息苦しさを感じていたマコトと人付き合いが不器用なミリアムの交流が爽やかでした。
足が不自由で歩けないが故に飛ぶことに情熱を燃やすミリアムの大空へ憧れに魅せられます。
マコトは初対面の女の子にアレはないな! どうみても痴漢行為としてアウアウ!w
ミリアムの笑顔を写真に撮るため、彼女の喜びそうな贈り物や世話をしてあげても、そう簡単に許せるものじゃないし、お節介を焼くたびに彼女の怒りが再燃するばかりで悪循環ですよね。
ミリアムも自分のコンプレックスが邪魔をして、マコトに対して素直になれないんだろうなぁ。
そんな二人が少しづつ信頼を積み重ねていって、互いの特技を合わせて最後に得た勝利は見事だった。
テロリストとして手配されている"レヴァンテ"ですが、構成員は全然テロリストらしくないというか、革命家みたいにギラギラと理想に燃えてるわけでもなく妙にほのぼのとした人々の姿が温かかった。
ミリアムにとっても自分を飛ばすために支えてくれていた大切な仲間なんでしょうね。彼らを政府軍の包囲網から逃すために恐怖心を乗り越えて大空へと舞い上がる光景に胸が熱くなりました。
しかし、読み終わってみると、及第点はクリアしているが、なんだかいまひとつ足りない感がある。
反乱軍のリーダーや女宰相がほとんど空気で、重要人物のわりに印象が薄かったですし。
マコトについても父親との決別なり、可愛い許嫁と修羅場るシーンとか期待してたんですけどね。序盤にあれだけ強調していたんだから、なにか伏線として使った方がよかったんじゃないかな。
ちょっと作品の決め手が欠けているようだけれど、続編で補填する予定かもしれないし、大人しく待ってることにする。