![]() | 放課後の魔術師 (7)スマイル・ウィズ・ユー (角川スニーカー文庫) 土屋つかさ 角川書店(角川グループパブリッシング) 2010-05-01 by G-Tools |
“島”に潜入した遙だったが、肝心の安芸は記憶喪失に。脱出までの制限時間は「10日」。記憶を取り戻すべく奮闘するなか、遙は安芸の人生を変えた “ヴェニスの悲劇”の真相を知ることになるのだった―。次第に明らかになる真実は、ふたりにどのような結末をもたらすのか。
紅と蒼の望む未来
同い年の女子高生と教師カップルが繰り広げる放課後マジカルストーリー。完結。
ツンツン尖った妹様が素晴らしい。外へ出てきてもイメージ通りで安心した。
時間の流れが異なる≪島≫での遥と安芸のイチャラブっぷりに惚気られつつも、いかなる障害をも跳ねのけてお互いを求めあう揺るぎない想いの強さに魅せられました。
事態の収束に向け、勢力の垣根を越えて一致団結する仲間たちの活躍ぶりも輝いてました。
姉妹だからいいものの、仄香は予想以上にとんでもないストーカーだったなぁ。遥と安芸の前ではいつも強気なのに、仄香相手だと一方的に押されっぱなしのイドとで、いい漫才コンビでした。
一方、さらりと口説き文句が出てくる記憶喪失の安芸Bは、朴念仁な安芸Aより期待できて困る。
遥のために今の自分が消える覚悟で記憶を取り戻す決意をした安芸Bが、とてもいい奴で泣けてくる。
前もってあんなメッセージを残していた遥の母親は、どこまでこの事態を予測していたんだろう。
『ヴェニスの悲劇』の詳細が明かされましたが、当事者たちは、ほかに手段はなかったのかなぁ。
塊斗だけを仲間外れにして安芸や絵理子たちだけで重荷を背負うことはなかった。魔術の才がない彼を巻き込まないようにしたつもりでも、後で己の無力さを一番悔やむのは他らなぬ彼自身だろうに。
≪円環≫の決定がどれだけ絶対はわからないが、死んだフリをして逃げるとか、いっそ≪鴉≫に亡命するという手もあったと思う。最善の策を取ったつもりが、少しずつすれ違ってしまったんでしょうね。
遥と仄香の決断は、ちょっとあれ?って思ったけど、ハッピーエンドなら文句はないです。
しかし、これで完結にしちゃうのはちょっと勿体無い気がするなぁ。まだ≪紅≫が完全に安全とは言えないし、弱体化した≪蒼≫の今後や≪鴉≫と≪円環≫との決着も気になります。
ジェシカシステムから出てきた伊代や引きこもりから立ち直った仄香が、学校に通い始めるお話とか読んでみたかったなぁ。いずれ後日談が出ることを祈ります。
読後感のいつも心地良い、ボーイミーツガールの傑作でした。ひとまずは、おつかれさまでした。そして次回作も頑張ってください。


