![]() | 零崎人識の人間関係 零崎双識との関係 (講談社ノベルス) 講談社 2010-03-25 by G-Tools |
零崎人識、17歳、もっとも自由だった全盛期の春。“殺し名”七名の対極に位置する“呪い名”六名――時宮病院、罪口商会、拭森動物園、死吹製作所、奇野師団、咎凪党――の寄せ集め、裏切同盟と兄・零崎双識との戦闘に、彼は否応なく巻き込まれ――
殺人鬼の青春時代
殺人鬼『零崎一賊』の鬼子・零崎人識と彼にまつわる人々との人間関係を描いた人間シリーズ最終章。
双識と間違られた人識と『呪い名』集団・裏切同盟とのスピーディなバトル展開が見物でした。
決して正面からは戦いを挑まず、邪道とも言える裏技や搦め手で襲ってくる裏切同盟に対して、相手の盲点をついた勝ち方には、人識ならではの特異性がよく現れている。
いつもの力押しの超人バトルとはちょっと違うメンタル面での駆け引きが新鮮でした。
『呪い名』のそれぞれの特性がきちんと明かされるのはこれが本邦初ですね。
脳内干渉やら精神支配やら嫌らしいスキルだなぁ。罪口に至っては"呪い"とか、「そんなオカルトありえません」と言いたくなったけど。確かにあんなチートを使う相手とは戦わないのが正しい選択かも。
咎凪だけ戦う前にログアウトしちゃったからわかりませんが、ページ数の問題か、単に作者が飽きたか。
そして『零崎双識との関係』というくせに、肝心の双識にーちゃんがエピローグまで出てこない。
直木三銃士といい、裏切同盟といい、双識本人を知らない人にとってはマインドレンデルの評価がやけに高いなぁ。どれだけ変態に見えても、やはりそれだけ偉大な人物なんだろうなぁ。変態だけど。
曲識と姫ちゃん、軋識と玉藻はずっと戦いっぱなしなんだろうか、そちらもとても気になった。
双識に対する人識の思いはなんとなく掴めたような。少しばかり反抗期なだけで本当は兄思いと。
裏切同盟も勘違いをせずに双識本人を相手にしていたらまた展開は違ったのだろうけれど、『殺し名』の天敵である彼らにとって、この頃の人識こそが天敵だった。
人識の少年時代の終わりがちょうどこの頃だったのでしょうか、出夢への想いを吐露する人識の姿にはまた切なさがこみ上げてきました……。バトル小説と思わせて、これはいい青春小説でした。