ダフロン

2010年03月22日

ヘヴンズ・ダイアリー 001/直江ヒロト

4829135069ヘヴンズ・ダイアリー001 (富士見ファンタジア文庫)
直江 ヒロト
富士見書房 2010-03-20

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私、織咲天翔は三年間、想い続けてる相手、真山くんと高校生になってもちゃんとお話できない、恋愛下手な女の子。愛とは何か?って尋ねる遊斗は私がその答えを知る解答者だって言ってきたの。宇宙で起きた出来事を自動筆記する“神々の日記帳”の唯一白紙のページがその“愛の真理”なんだって、ふーん。

 恋する乙女の万物創世記

 宇宙から消されてしまった《愛の真理》を追い求める天使と堕天使と少女の物語。

 脈絡もなくさらりと不思議ワールドにINしていきますね。この緩い世界観は好みが分かれると思う。
 《愛の真理》を探し求めるというテーマから登場人物たちの哲学話になるのかと思えば、ほとんど戦闘シーンばかりで、いくらでも会話劇を発展させられそうな題材なのに非常に勿体無い。
 非常識に巻き込まれても何無く受け入れる天翔の動じなさにはちょっと腑に落ちないものを感じる。

 まあ、天翔は天然ドジっ子のおバカさんという印象しかなく、とくに思い入れもなかったりする。
 "好き"という感情が行動原理のすべての女子高生というのはとても女の子らしいとは思うのですが、肝心の三年間想い続けている相手の描写が少なかったり、物事を深く考えない性格故にキャラクターに掴み所が無くこの子の気持ちがイマイチ理解不能だったのもある。

 むしろ純潔と暴力の天使ガブリエルさんや不思議っ子天使カナエルのほうがずっと面白い子だし、色欲の堕天使までも惚れさせるパーフェクト美少女の美雪さんについての《神々の日記帳》の記述があれだけというのも納得がいかないな。むしろ美雪さんこそ女神というべきだろう!
 そういや天使たちは何度となく人間を無能者呼ばわりするけれども、そういう天使たちも五十歩百歩でダメな人ばかりというのは、やはり同じ神様が作った存在だからかね。神様、不器用だなー。

 どうみてもギャグ作品なのに、とくに笑いのとれないアクションに多くページを割くのは無駄じゃない?
 それにそこまで堕天使たちが天界に戻りたいとか、《愛の真理》を知りたがっているようには思えないんですよね。ただ知的好奇心を満たしたいがために天翔につきまとっているだけみたいなもんだし。
 壮大なSFをぶち上げているわりに物語の根幹に切実なものを感じなかったな。「天翔が真理にたどり着けなかったら世界が終わってしまう」くらいのリスクはあったほうが面白くなったんじゃないかしら。

 同作の『夏海紗音と不思議な世界』よりは気軽に読めるカンジですが、メインヒロインの魅力が欠けていたのと物語性の伸ばし方を誤っていたのが残念なポイントですね。

 と、ここまで書いて好き放題にdisっているのに気がついた。
 最初は別に酷評するつもりなんてなかったのにおかしいな。いったいどこからあれー???
 ダメなところばっかだけど、完全に受け入れられないというほどでもないかなぁ、たぶん……。
 もし続編が出たら買うのかって? ……とりあえず、保留ということにしておいてください。

夏海紗音と不思議な世界1 (富士見ファンタジア文庫)夏海紗音と不思議な世界1 (富士見ファンタジア文庫)
直江 ヒロト

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posted by 愛咲優詩 at 00:00| Comment(2) | TrackBack(0) | 富士見ファンタジア文庫 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
 はじめまして「サイとはいかが?」のサイとです。
 ヘヴンズ・ダイアリー、私も読みました。
 私も感想を書いたのですが、愛咲さんの記事から勝手ながら引用させていただきました。

 と、ここまで書いて好き放題にdisっているのに気がついた。
 最初は別に酷評するつもりなんてなかったのにおかしいな。いったいどこからあれー???

 以上の部分をとても同感できる感想をコンパクトにまとめた一文でしたので、引用させていただきました。
 問題などありましたら、ご連絡お願いします。素早く対応いたします。
Posted by サイと at 2010年04月11日 03:01
>>サイとさん
いやいや、おかまいなく。好きなように引用なり抜粋なりしちゃってください。

この作品は最初は面白そうだとページを開いたのに、読み終わってみると自然なくらいに期待外れだったというのが実態ですね。
まあテーマは悪くないので、話の作り方次第で変わってくるとは思うので、続編には期待してみます。
Posted by 愛咲優詩 at 2010年04月16日 02:37
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