ダフロン

2010年03月20日

シオンの血族 1 魔王ミコトと千の花嫁/杉井光

4758041253シオンの血族 1 魔王ミコトと千の花嫁 (一迅社文庫 す 1-5)
一迅社 2010-03-20

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帝都東京。皇統を異形の敵から護る吸血鬼の家系“シオンの血族”が、そこで密かに息づいていた。その若き女当主、紫苑寺有葉のもとに、ひとつの棺が運ばれる。封印された、有葉の弟、紫苑寺ミコト。封を解かれ、よみがえったその少年は凶暴、好色、残忍、色々やりすぎな魔王へと育っていた!

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 封印を解かれた吸血鬼の少年がハーレム目指して美少女たちを襲いまくるハーレム伝奇アクション。

 女の子を手当たり次第に押し倒してフラグを立てていくだけで、風情も情緒もへったくれもないなぁ。
 ミコトの毒牙にかかったヒロインたちが、都合よく彼の虜になっていくのが出来レースでなんだかなぁ。
 本番シーンこそないが、エロシーンはバンバン出てくる。実際、あとちょっとエロ度を上げれば一迅社よりも美少女文庫で出版するのが相応しい内容だから困る。

 そして今回もまた『さくらファミリア』のときと同じく背信者ネタという。この人、ユダさん好きだなー。
 パロディなら面白いんですが、シリアスだとキリストと悪魔系統はありふれてるんで飽き飽きします。
 キャラクター造形はそんなに悪くはありませんが、アクションばかりでそれを活かしきれていない。
 死んだはずのミコトが復活してきたのには「なんだそりゃあ!」と叫びました。なにこれ、わからない。

 グロい世界観とシリアス風味がとても余計。物語に深みを出すどころか、かえって味を濁してます。
 いっそのこと、『吸血鬼』と『ハーレム』だけにテーマを絞って学園ラブコメとして展開させていく方がよかったんじゃないか。写本の設定を活かしておくとしても、アクションパートはおざなり程度で十分。
 それよりももっとヒロインとの掛け合いを盛り込むべきですよ。シリアスの毒が相殺できてないです。

 杉井光は芸風が広いのはいいんですが、当たり外れのバラつきがありすぎる。
 というか、彼はシリアスとファンタジーの食い合わせが破滅的に悪いんじゃないだろうか。
 評価している人もいなくはないだろうけど、彼にはもっと向いているジャンルがあるんじゃないかな。
 さらにはこれでメディアミックス企画を仕掛けるとか、死亡フラグとしか思えない。
 イラストはともかく、肝心の中身には人気の出そうな要素がまったく見あたらないぞ?

posted by 愛咲優詩 at 00:00| Comment(2) | TrackBack(0) | 一迅社 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
通りすがり失礼します。
確かに杉井光は「素直にボーイミーツガール書いとけやー!」って気にはなりますね^^;
Posted by 通りすがり at 2010年09月11日 21:29
>>通りすがりさん
杉井さん、器用な人なので、いろいろ書けるのはわかるんですが、やはり一番似合うのはこういう伝奇系じゃなく、学園ラブコメだと思うんですよね。
Posted by 愛咲優詩 at 2010年09月14日 02:11
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