![]() | 魔王城四限目 (ファミ通文庫) 田口仙年堂 エンターブレイン 2010-02-27 by G-Tools |
策略にはまり、ツノツノと士長を死なせてしまったアプリール。その“悪行”は英雄研究会の面々により国中に広められ、学校は英雄の志を継ぎ、魔人を討伐しようという義勇軍に包囲された。エイゴは、無力感を噛みしめながら考え続ける。この状況を打開する方法を。
正しい魔王のつくりかた
強大な魔力を持つ魔人の子供たちと教師役の軍人青年の交流を描く教育ファンタジー。
綺麗事ばかり言う汚い大人たちは、もうみんな死んじまえ!
死んだ士長の孫娘であるリタですらアプリールを責めていないのに、まったく赤の他人である義勇軍なんて奴らがしゃしゃり出てきて責め立てるのは完全にお門違いってもんだろう。
金や名声の欲につられて子供たちをよってたかって追い詰める大人たちが許せない。
確かに事件の発端であるアプリールも不注意だったにせよ、もう十分に罰は受けている。
それにツノツノと士長の死に一番傷ついて立ち直れなくなっているのはアプリールだ。
自分を責め、墓前に泣いてすがることしかできない彼女にこれ以上何を求めるというのか。
悲嘆に暮れるアプリールをどう慰めればいいのか、エイゴや他の子供たちも辛かったでしょうね。
こんな状況に陥れた張本人であるランディが、よくもまあ「子供たちのため」なんて言えるなぁ。
少しでも罪悪感を感じているなら、言葉の上でも謝罪ぐらいしたらどうなんだ。彼は偽善者と呼ぶのもおこがましい、ただの卑怯者なんじゃないかと思いますね。アプリールには騙せたけれども、エイゴやバズにはその浅ましい本性が透けて見えるからこそ、さらに怒りも沸くんでしょう。
というか、あれだけの戦力差を見せつけられて、まだ勝てるつもりでいるハイナートに呆れる。
あんな烏合の衆をいくら集めても無駄だろう。戦力分析もできない指揮官は無能以外の何物でもないぜ。そもそもどうして彼女に魔人の善悪を決める権利があるのだろうか。
本人に自覚がないようだけど、彼女こそ英雄が残した平穏を乱す害悪そのものじゃないかな。
自分の欲望のために子供たちを利用する身勝手な大人がいれば、子供たちを守るためになりふり構わず自分の身を投げ出すバカな大人もいるから、まだまだ世界は捨てたもんじゃないと思えるんだ。
世界中を敵に回しても守りたいと願ったエイゴの覚悟は決して甘く見てはいけない。
さて、次回は最終巻。ついに謎にみちた英雄の正体が明かされる。英雄という名の幻想がぶち壊されてもハイナートの信念は折れずにいられるのか、いまから楽しみです。


