![]() | レンタルマギカ 銀の騎士と魔法使い (角川スニーカー文庫) pako 角川書店(角川グループパブリッシング) 2010-02-01 by G-Tools |
京都でのあの出来事から季節は過ぎ、“アストラル”はいつもの賑やかさを取り戻しつつあった。しかし“アストラル”のメンバーは大きな変化を受け入れざるをえなかった。右目の力は薄れ、トレードマークでもあった眼帯は無くなったが、自らの力だけで試練に挑んでいく!
伝統をくつがえす革新
東洋と西洋の魔術が交錯するハイブリットマジカルアクション。第三部始動。
社長としての落ち着きだけでなく、したたかさまで身につけたいつきの急成長ぶりに目を瞠ります。
猫屋敷、穂波、アディリシアが<アストラル>からいなくなって、妖精眼も前ほどの力はなくなってしまったけれども、残ったメンバーたちが挫けることなく研鑽を積み、若い者たちの才能が芽吹いていく姿が<アストラル>の再生の息吹を感じさせました。
スーツ姿で<協会>の裏方に徹する猫屋敷や穂波、<螺旋の蛇>対策に追われるアディリシア、<アストラル>から引き離された彼らも、いつきたち<アストラル>の動向を気にかけていて、離れていても想いは一つなんだなと安心しました。
しかし、頭ごなしに叱る相手がいない方が、いつきが伸び伸びやっている気がしないでもない……。
<銀の騎士団>と業務提携をすると思わせて、魔術決闘を挑むとは予想もつかなかった!
<アストラル>を完全に侮っているジェラールの驕りを逆手にとった作戦は、自我に凝り固まった魔術師では考えもつかない発想でしょう。前哨戦の駆け引きだけでなく、真っ向からぶつかり合う実力勝負での決着も凄かった。決め台詞の「社長命令」も健在で嬉しい限り。
個々が心身ともに成長して、さらには信頼できる新たな仲間も得て、魔術結社が一丸となって<螺旋の蛇>と戦う体制を備える構えもあり、不安よりも期待が多く持てる好調なスタートでした。
<螺旋の蛇>の誕生の秘密や行方不明中の"あの人"など、新事実も明かされてきましたが、みかんとラピスの可愛い掛け合いももっと見たいし、オルト君の学生生活が気になりますね。