![]() | ベン・トー〈5〉北海道産炭火焼き秋鮭弁当285円 (集英社スーパーダッシュ文庫) 集英社 2010-01-22 by G-Tools |
ある日、佐藤のかつての憧れのクラスメイト、現在芸能アイドルとして活躍する広部さんが転校生として現れる。傍若無人の振る舞いをする彼女に、案の定巻き込まれる佐藤は、徐々に弁当争奪戦から遠ざかってしまう。さらに、再び立ちはだかる猟犬群たちの乱入で戦闘は激化していき…!
愛しきは、勝利の一味
半額弁当を求め、夜な夜なスーパーの弁当売り場に集まる狼たちの誇りと魂をかけた戦いの物語。
狼たちは、何故それほどまでに半額弁当を追い求めるのか。今再び原点を振り返る。
確かに広部さんの言う通り、傍から見たら半額弁当なんかを真剣に奪い合っている佐藤たちは馬鹿かもしれないけれど、そんな馬鹿なことに情熱を燃やしているからこそ格好いいんですよ。
なにより、ただの大量生産のロケ弁と半額神たちが精魂込めて作ったスーパーの弁当を同列に語っちゃいけねぇ! ピーマンの肉詰め食いてぇえええええええ!!!
半額弁当に関わることを禁じられた佐藤も、アイドルとしてファンの望むキャラを演じなくてはいけない広部も、猟犬でありながら狼としての勝負を渇望する山原も、それぞれが抑圧される「本当の自分」を抑えきれず苦悩と葛藤を繰り返してしまうのは、まさに割り切ることのできない若さ故の未熟さなのだけれども、純粋だからこそ誤魔化せないがむしゃらな衝動が眩しい。
広部さんがことさら著莪を嫌う態度を取るのも、窮屈な日々を送っている彼女にとって、自由奔放に生きている著莪の存在が気に食わない相手であると同時に羨ましくもあるんだろうなぁ。
佐藤を引きとめる広部さんも、もしかしたら心のどこかで自分を振り切っても行くだろう、昔のままの馬鹿正直な佐藤を期待していたのかもしれない。一時は半額弁当から遠ざかっていた佐藤が、再びスーパーという戦場に戻ってきたときには、思わずこみ上げる興奮に奮い立ちました。
オルトロス姉妹のボケっぷりに和んだり、佐藤がこなくてしょんぼり気味の先輩も可愛かった。
相変わらずセガ熱も弾けてるが、半額弁当とセガだったら佐藤はどっちを選ぶんだろうか。現状では、「半額弁当≧セガ>色気」くらいだろうか。『悠久幻想曲』は神ゲーだったよね。
次巻はそろそろ伏線で引っ張ってきたHP同好会の過去が明かされてくる頃合いかなぁ。