![]() | 赤の9番“隷従” (電撃文庫) 相原 あきら アスキーメディアワークス 2010-01-10 by G-Tools |
冴えない男子高校生・木下つくしは、ある日ネットを徘徊中に、クラスメイトの小田かずさが、ゲーム好きの同志と思い込む。妄想全開で、彼女に話かけてみれば、妙に切羽詰まったかずさの様子に引くに引けず、気が付けば彼女の下僕として不可解なゲームに巻き込まれるハメに―!?

主人公がイタい、キモい、ヘタレ。いつも他人の顔色を窺ってウジウジと卑屈な態度が気に入らん。
外見も地味で性格は根暗。人間としての魅力が微塵も感じられないのに、何故かクラスの一部の女子がやたらと気にかけている謎、これを不条理と言わずしてなんという。
他人との会話中に妄想にトリップする姿に嫌悪感が沸きました。なんなのこいつ、頭おかしいの?
世界の命運を賭けてヒロインがバトルロワイアルを繰り広げる学園異能と言っていいのかな。
ギャンブル設定は悪くないんだけど、参加者がみんな性根の腐った下劣な人間で、誰も救われも報われもしないルールなんかは土橋真二郎が描くような『闇のゲーム』っぽさを感じる。
ゲームが進む度に鬱々としてくるんですよね。っていうか、こんな奴らが人類に残された可能性とか、誰が勝ち残っても酷い世紀末の世界しか想像できない。
ヒロインの能力の『隷従』って、つまりは「人を従わせる力」でしょう。使い方によっては一番万能に近い能力なのに、「敵を弱体化させる」程度の使い道しか試さないのは勿体無いな。
駆け引きって言ったって、ベットしているコインの枚数で決まるパワーゲームしかしてないじゃん。
どう考えても怪しさ満点の相手の言葉を鵜呑みにしてあっさり騙されたおバカさんが、最後に勝負を逆転させる閃きを見せるのも都合良すぎる。というか、もうキャラからして違うだろ!
巻末を見て気づいたが、『世界は悪魔で満ちている?』の作者だったか、アレも隷従モノでしたね。
ヒロインがドSだからバランスをとって主人公をドMにしたんでしょうが、それが最大の失敗でした。
主人公がまだ普通の感性を持っていてくれれば、彼の憤りや苦悩に共感できるような場面もあったかもしれませんが、最初から最後まで一貫した主体性の無さが理解不能なので感情移入しずらいばかりでした。
というか、つくしに対する独占欲の激しさを見るに、かずさは攻めと見せかけたツン受けじゃないのかな。