![]() | ブレイドライン2 アーシア剣聖記 (角川スニーカー文庫) 角川書店(角川グループパブリッシング) 2010-01-01 by G-Tools |
妖精族の力を開放し、故郷の島々を津波で壊滅させたセラ。あまりにも危険な彼女を生家に押しつけるべく、ヒエンは帝都を目指す。だが、彼らの行く手を聖都ナユタの軍勢が阻む。少数民族“沼人”を虐げるナユタ軍に対し、義をもって刃を振るうヒエンだったが、その前に意外な人物が立ち塞がる!
剣が見合わす、一期の出会い
襲い来る妖魔に鍛え抜かれた武術で立ち向かう武使たちの剣と刃が交錯する和風ファンタジー。
◆第一章 レイヴン
若い娘を差し出せという領主の命令に頭を抱える村のお話。
ミナセのような美少女を目にして、はやる気持ちはわからないでもないけれど、ヒエンがっつきすぎ!
それなのに、いざ据え膳スタンバイとなったときに怖じ気ずくとは…このヘタレめ……。
自分の気持ちよりもまず相手を思いやる優しさが先にあるのは母親の躾がいいんだろうけど、女心がわからないようじゃねぇ。もう少し時間をかけていればミナセの気持ちも通じただろうに惜しいな。
◆第二章 ドリームキャッチャー
村人や旅人を惑わす妖怪退治を依頼されるお話。
スズリさん、あつかい易いなー。思い込みが激しいとそのうち人に騙されるよ。
もし依頼を受けたのがスズリだったら最後まで山賊たちの企みに乗せられていたでしょうね。
そしてセラ母さんは、いつもお気楽でいいなぁ。ヒエンの苦労と等価交換ですけれど。これで母親じゃなければ萌えなくもないんですが、どうして設定を親子にしたんだろうね。
◆第三章 ホーリーダンサー
故郷に帰ってきたスズリとかつての女友達のお話。
女に弄ばれているという認識ぐらいはあるのかヒエン。相手が器量良しなら誰でもいいなんて節操なしと言われるのも当然。少しぐらい選り好みというか、女を見る目を鍛えた方がいい。
一緒に旅をしてるのにスズリにはそういう浮ついた気持ちを抱かないのはどうしてだろ。美人なのに。
◆第四章 ウォーターランド
湖沼地帯に住む沼人たちを虐げるナユタ軍との戦に巻き込まれるお話。
弱い者を犠牲にする戦争に義もなにもあったもんじゃないですよ。神職のくせに人種差別とか人間的に終わってる。こんな頭の足りない輩を司令官にするなんてナユタ国も先行きやばいな。
アモンも掟や習わしだからと唯々諾々と命令に従うばかりではなく、それが本当に正しい行いなのかどうかを自分で判断しなくてはいけないよ。それが力を持つ者の責任でしょう。
その過ちを正すために払った代償は大きかった。しかし、大切なのはこんな悲劇を二度と起こさないために各人が努力することだと思う。そのためにもヒエンにはさらに強くなって欲しい。
スケールの大きかった1巻に比べ、2巻でいきなり短編集というのは偏ってるような気がする。
それよりも、今回やらなきゃいけなかったのは、PTメンバー集めじゃないかな。いくらなんでも冒険の主要メンバーが3人だけっていうのは寂しい気がする。馬と牛は役立たずなので除く。
MMOでいえば、ヒエンがMTでスズリがアタッカー、セラがウィズという感じだから、あとは弓術使いや隠密、癒しの術が使える神官といった支援・ヒーラー職のキャラが欲しいと思った。
う〜ん、世界観はいいんだがシリーズ全体の構成や人物設定が不格好に感じるなぁ。もうシリーズの目的が鬼道衆との戦いよりもヒエンの嫁探しになってるじゃないですか。いっそヒエンの旅は早めに終わらせてしまって、別主人公で再スタートした方がいいんじゃない?