ラグナ・クラウン (MF文庫 J) (MF文庫J) 白田太 メディアファクトリー 2009-11-21 by G-Tools |
“薔薇の悪魔”と呼ばれる生物に、人類が大地を追われて一世紀弱。父王に反対されながらも作戦参加を目指すマキアート王国王女・セヴィリアは、“最後の人材”を求め、王立学院を訪れる。そこで彼女が出会ったのは、バカでスケベ、しかしたぐいまれなる“薔薇術”の才を持つ少年・ロックフィートだった
その剣は、誰がために
バカでスケベだけど強力な力を持つ少年と王女さまが悪魔退治へ向かう異世界ファンタジー。
頭が悪くてエロスだけど、自分に正直で真っ直ぐな主人公・ロックが格好よかった。
剣士とお姫さまが世界を支配している魔王を倒す冒険に出るという、いまどき珍しいくらいのシンプルスタイルの王道ストーリーで、最近のやたら設定ばかりコッテリしてギトギトした作品を読んだ後だと、よい気分転換やリフレッシュになるんじゃないかな。
空気を読まずに突っ走るロックのボケと容赦のないセヴィリアのツッコミはイイですね。
人類の宿敵との決戦へ向かっているというのに緊張感ゼロでセクハラを連発してくるロックにセヴィリアが激怒しつつも、王族である自分に対しストレートに好意を叫ぶロックのことが次第に気になり始めていく姿がとても可愛くって微笑ましかった。
完璧なフォーメーションと言っていたセヴィリアの策が破られ、仲間が欠けた状態でラスボスと戦うとこになるんだけれど、正直、ラスボスの能力とかセヴィリアの切り札とか戦闘面のことはどうでもよくて、信じていた仲間の裏切りを認めたり、隠していたセヴィリアの秘密をまるごと受け入れるロックの度量の大きさに感服した。馬鹿だけれど、これはよい大馬鹿。
だが、あの生い立ちであそこまでバカでエロに育ってしまったのでは死んだ両親も浮かばれないな。
ロックが正真正銘のバカのは確実だけど、父親である王様の制止を振り切って魔王退治に出かけるセヴィリアもよくよく考えるとアホ王女なんじゃないかと思ったり。案外、お似合い?
ロックの名前の元ネタについてもセンスが古かったな。盛り上がってるところで分かってガックリきた。
すぐに読んで捨てる読書タイプの人には向いている作品でした。読むのであれば深くは求めるな。