ごくペン! (MF文庫J) メディアファクトリー 2009-10-23 by G-Tools |
一緒に東大に入ろうと約束した幼馴染がいるという噂を聞き、毒マムシ学園に転校した五十嵐真太郎。想像以上に古風で脳天気なヤンキーの吹きだまりだが、思わずツッコミを入れまくっているうちに、ヤンキーたちから崇められるように。そして再会した凜子は、なぜか私設極道の女親分になっていて─
幼なじみを追いかけてヤンキーだらけの高校にやってきた高校生の学園任侠物語。
なんというか、表看板だけ立派で中身が薄っぺらく肩透かしを食らった感じ。
作品テーマが『極道』と『文学』で、主人公・真太郎も最初に「文学の力で学園に知性をもたらす」とか宣言しているが、実際は原稿用紙一枚も書いてないじゃん。どこが文学なんですか。
偏差値70オーバーにしては、いきなり毒マムシ学園に転校してきたりと行動が行き当たりばったり。
ヤンキーもヤクザもバカはバカなんだけど、『バカとテストと召喚獣』のような意外性のあるバカではなく、ただ何のヒネリもなくバカなだけのモブキャラなので面白味に欠ける。
不良だからといって喧嘩しか能のない人間のように描かれるのは、読んでる方も気分悪いなぁ。
「ヤンキー」という言葉で一括りにせず、バカなヤンキーたちにも何かひとつくらいは特技や取り柄があって、それぞれちゃんと個性があるんだよ的な演出を期待してた。
女の子たちが可愛いのは認めてもいいんだけれど、ヤンキーやヤクザっぽくはないんだよなぁ。
真太郎がヤンキーやヤクザに一目置かれるようになるのもその場の勢いだけというか。
リングでの叫びも熱血なんだけど、ぶっちゃけ権田原組や真太郎のことを詳しく知らない人間には支離滅裂に聞こえるだけなんじゃないだろうか。
校舎ロボ登場から、思想革命とか学園改革とかは些事になってしまいどうでもよくなった。
アンパンの伏線はきっちり張られていたが、見せ場が終盤にしかなく中途半端なキャラになってしまった。もっと前から出番を多くするか、別に中の人設定はいらなかったのでは?
う〜ん、やはりヤンキーにしてもヤクザにしても、それらしくキャラの表面をなぞっているだけでどこか素人臭くてリアリティを感じなかったのが不満な点として大きい。ラブコメ要素もいまいちでした。