プシュケープリンセス (MF文庫J) メディアファクトリー 2009-10-23 by G-Tools |
柊火ノ見の前に“幻想世界”の住人・プシュケーを称する少女テュエッラが現れ、この“現実世界”を舞台に行われるプシュケーたちの王位争奪戦参戦の契約を求めてくる。はじめは相手にしていなかった火ノ見だが、幼なじみの鷺浦舞もその戦いに加わっていたことから、なかば強制的に巻きこまれていき
異世界の政権争いに巻き込まれた少年少女の学園異能アクション。
典型的な中二病設定の説明不足。『○○』表記大好き。「分水嶺」って単語が使いたかっただけ。
まず争うという概念がない世界からきたはずなのに王座をかけて戦っているという謎の矛盾があるんですが、それに対する説明が曖昧すぎてまるで説明になっていません。
異世界には異世界の法則があるにせよ、その一言だけで作中の不条理を都合良く誤魔化しすぎ。
王位争奪戦の駒である『憑依者』を倒すことで『縁』を吸収できるという話は百歩譲ってそういうものだと納得するとして、『縁』の吸収イコール現象世界との『縁』が強まるというのはどうしてなんだろう。
イメージとしては現象世界と幻想世界は、数直線上のプラスとマイナスの関係に思えるんだけれど、どうしてマイナスである幻想世界人の『縁』を吸収するとプラスの値に傾くんだい? ベクトルが逆でしょう。
そもそも『被憑依者』が意識を失った程度で現象世界に留まれなくなるほど、現象世界と『縁』が薄い幻想世界人の彼らがどうやって最初に現象世界にやってこられたのさ?
『標失』して周囲の人々の記憶から消えてしまった妹のことをどうして火ノ見だけが覚えているのかについても、「ちょっと特別な縁を結んだ」で終わりですか、その説明はないわー。そこが物語で一番重要なポイントでしょう。
とにかく、そこら中でクエスチョンマークだらけで、ひとつひとつ疑問を挙げていけばキリがない。
作者の脳内では理屈が通じているのかもしれませんが全然読者に伝わっていませんね。世界観がまともに定まっていないのに適当に書き殴っているようにしか思えない。
これで完結にしろシリーズとして続くにしろ、読めるものになりそうにない。