オトコを見せてよ倉田くん! (MF文庫J) メディアファクトリー 2009-10-23 by G-Tools |
年上の女性が好きな倉田優樹は、ある日、幼なじみの愛衣の親友である小夜のとんでもない秘密を知ってしまう。口封じのために殺されそうになる優樹だったが、小夜と将来婚約すると誓うことでなんとか一命をとりとめる。しかし翌日、今度は愛衣のとんでもない秘密を知ってしまって――。
二人の美少女に命がけの二股をかけるダメ高校生のお話。
う〜ん、『瀬戸の花嫁』x2みたいなカンジだった。ただし、婿が全然男らしくない。
主人公がヒロインの秘密を知ってしまって婚約を迫られるというお話なのだけれど、そもそも本人と保護者たちが周囲に黙っていれば済むことなのに、秘密を守らせるために婚約までさせて大ごとにする必要性がよくわからない。秘密を漏らしたら殺すと脅しておけばそれで十分じゃね?
ハーレムものと違ってヒロインたちを騙して裏切っている姿が男として最低ですね。
そりゃあ、自分の不義理を言い出し辛いのはわからないでもないですが、双方とも本心から優樹を殺したいとまでは思っていないのだから交渉の余地はいくらでもあるでしょう。
優樹への不満の一番の理由は、二人の少女の想いを踏みにじってまで惜しむ命とは思えないことですね。こんなに可愛い女の子二人に好かれているのに年上好きとか、マジ死ねばいいのに。
優樹憧れの睦月お姉ちゃんは要所でタイミングよく登場してきて愛衣や小夜と張り合っているから、てっきり彼女も優樹に気があってもっと物語の本筋に深く絡むキャラかと思ったのに終盤以降は空気だもんなぁ。これで正体が犬神や猫又を調伏する女陰陽師とかだったら三すくみになってもっと面白くなったのに。
悪役がこの上なく気持ち悪い変態野郎だったのは、読者に「これならまだ優樹の方がマシ」と思わせるための計算でしょうが、作中に少しでも魅力的な男キャラが誰一人いないというのは萎えるよ。
それに小夜のヤンデレはまだまだ甘い。最低一回は刺されて生死の淵を彷徨わないと。
二股デートのシーンは長すぎて読んでて飽きてきましたね。薄っぺらいウソを次々と積み重ねる優樹の口の軽さにはほとほと嫌気がさしました。
優柔不断な主人公って、二股を書きたい作者にとっては便利な存在かもしれないが、延々と煮え切らない態度を見せられる読者はたまったものじゃないというのを理解して欲しいな。
パワーアップした「倉田くん」は、別に読みたくないです。他の書いてください。
瀬戸の花嫁 1 (ガンガンWINGコミックス) by G-Tools |