| 逆理の魔女 (集英社スーパーダッシュ文庫 ゆ 6-1) 集英社 2009-09 by G-Tools |
冥月空白が出会った魔女はスカートのまま逆立ちする眼帯の少女だった。視えざるものを映す右眼を持っていたため、マシロは逆月雨坏というこの魔女の手伝いをすることになる。さらにマシロを溺愛する姉、歌姫ソラも雨坏に興味を抱き、積極的な接触を開始する。
善き魔女の幻想の宴
視えざるものを見る瞳をもった姉弟と世の理を覆す逆理の魔女がおくる幻想魔術小説。
設定そのものはどこにでもあるような感じなのだけれど、質が高かったという印象でした。
他人を寄せつけない眼帯少女・逆月雨坏が、怪異を視ることができる主人公・冥月空白を魔術の世界へ引き込んでいくと見せかけ、いつの間にか主導権が逆転していく人間模様が面白かった。
っていうか、最初の出会いがヒロインパンツ丸出しって、なんだこれ(笑
クールな外見の雨坏ですが、メッキが剥がれてドジっ子化していくところがなんともいえません。
肩肘を張って魔術師として振る舞うほど半人前で普通の女の子らしさが露呈する残念な奴だなぁ。
むしろ空白を溺愛してやまないブラコン姉ちゃんの方がよっぽど魔女でしたね。
容姿絶世、頭脳明晰、運動神経絶大、おまけに芸能界トップの歌姫。これでもかというほどオーバースペックだが、それに見合ったとでもいうのか、常軌を逸してぶっとんだ性格が強烈でした。
にこやかな笑顔で人の上に君臨する女王さまなお姉ちゃんの言いなりな光景が楽しい。
常識人のようで徐々に意地の悪い性格が現れて雨坏をやり込めていくようになる空白もよかった。
雨坏やお姉ちゃんと比べれば、怪異が視えるという以外は凡人なのだけれど、ヒロインの二人とも普通に社会で生きていくには不器用で息苦しいところがあって、さり気無くその溝を埋める気の利いたフォローやクライマックスでの切り札的な立ち回りは格好よかった。
あからさまにギャグではないんだけれど、シリアスからちょっと外れたキャラが可笑しい。
あくまでストーリーは読者の予測の域を出ていないはずなのに、何故か斜め上をいかれて「やられた!」と思わせるワンダーセンスがありました。
少なくとも表紙やタイトルから想像する内容とはかけ離れてますので、中ニ病系シリアスが苦手な人もお試しに読んでみるといい意味で裏切られますよ。

