蒼海ガールズ! (GA文庫) やすゆき ソフトバンククリエイティブ 2009-08-15 by G-Tools |
国を追われて海を漂流していた皇子シューフェンは、アラミス王国の軍艦ビシャスホースに拾われる。だが、少女ばかりの乗組員で構成されたこの船は、「男子禁制」。男とバレたら死刑になってしまう状況で、艦長から提案されたのは、持ち前の可愛さを生かして女のフリをすることだった!
女神の大海原に帆をあげて
国を追われた皇子が女装して男子禁制の船に乗り込む海洋アドベンチャー。
男の娘系主人公のハーレムものかと思いきや、意外と本格的な海洋ロマンで驚き。
海を漂流していたシューフェンを拾った蒼目青髪の少女ファムのお転婆っぷりや他のヒロインたちも船乗りとしてそれぞれ個性的で、活き活きと航海を過ごす姿が魅力的。
大海原に輝く太陽の下、甲板の上で飛び跳ねる少女たちの健康美溢れる肢体に目が眩まんばかり。
「男子禁制」の船だからということで亡命先のアラミス王国に到着するまで女装をして過ごすことになったものの、その可愛い顔から百合属性の乗組員の中で絶大な人気を集めてしまい、エロいことをされそうになったり、エロいことをさせられそうになったりとラブコメ要素は尽きませんが、船の上というお互いに頼れる者のない世界だからこそ、そうして仲間との信頼や繋がりを大切にしているんでしょうね。
しかし、なにより海戦が格好よかった。総合火力や腕力では男には勝てない彼女たちが、1対7の圧倒的劣勢から操舵と砲術の技術で戦況を覆す展開が燃えました。
帆船での戦術や知識に詳しくない人間には、ちと専門用語がややこしいですが、それまでのラブコメ展開から180度転換して戦闘シーンはバリバリに本格派でした。
生きるか死ぬかの戦いの前に綺麗に化粧をして煌びやかな一張羅に着替えるというのは、軍隊というよりも海賊のノリだなぁと思った。
自分の気持ちが恋だと気付いていないシューとファムの初々しい掛け合いにニヤニヤが止まらない。
前半はラブコメ、後半は浪漫活劇の折衷ですが、一見ミスマッチのようで妙にマッチしていましたね。
続編があるとすれば、今後どう物語を膨らませていくのか気になりますが、続巻は売れ行き次第かな。