![]() | ソードアート・オンライン〈2〉アインクラッド (電撃文庫) アスキーメディアワークス 2009-08-10 by G-Tools |
クリアするまで脱出不可能のデスバトルMMO『ソードアート・オンライン』に接続した主人公・キリト。最上階層を目指す“攻略組”の彼以外にも、様々な職業や考え方を持つプレイヤーがそこには存在していた。彼女たちはログアウト不可能という苛烈な状況下でも、生き生きと暮らし、喜び笑い、そして時には泣いて、ただ“ゲーム”を楽しんでいた。キリトが彼女たちと交わした、四つのエピソードを、今紐解く。
黒の剣士の束の間の休息
ゲームオーバーは、プレイヤーの現実の死。そんな次世代MMORPGを舞台にしたVRファンタジー。
キリトさん、モテすぎ! だが、主人公たるものこのくらいフラグゲッターでなければ面白味がない。
攻略の合間のクエスト編といったカンジでキリトと4人の少女たちによる四方山話でしたが、本編では深く描かれずにいたサブエピソードをほどよく補完しています。
日夜、LV上げとボス戦に明け暮れる攻略組がいる一方で、ひっそりとSAOでの生活に順応している中層プレイヤーに焦点を当て、また違ったSAOの魅力を引き出していました。
しかし、シリカやリズがキリトを見る目にはLV差を差し引いても凄まじい補正がかかっている。
キリト本人の一人称だと、ときには悩みもするし予想外の出来事には感情を揺さぶられるごく普通の少年という印象だったのに、他人の視点からだと大人びてクールなキャラに見える不思議。
キリトを想い慕う少女たちも単に高LVプレイヤーだからではなく、彼が持つ強い正義感と弱者への優しさに惹かれているように思えましたね。
中層においてはチート級のキリトですが、そんな彼でもどうしようもないのがプレイヤーの死。
かつて自分の慢心で見殺しにしてしまった仲間を生き返らせるためにイベントボスへ単身挑む第四章『赤鼻のトナカイ』での悲劇の結末には泣かされた。
ただし、仲間の死うんぬんに関してはこのゲームを甘く見た彼らの自業自得とも。それこそ仲良しグループの遊び感覚でサチ以外は死への危機感を本当に認識していたのか正直怪しいな。理想論を語る前に、このゲームもまた現実であるという不条理を直視して欲しかった。
今回のようにMMOでの日常生活をテーマにした閑話は、私もMMOでは中層プレイヤーであることが多いというのもあり、とても好みにハマりました。
ただ強敵を倒してダンジョンを踏破するだけが楽しさではない。プレイヤーひとりひとりが世界を動かす歯車の一部となって、同じ時間を作り上げるのがMMOの醍醐味ですよね。
というか私って、LV上げが嫌いなんですよね。でも、他のプレイヤーを手助けするのは好き。
例えば、FF11だとメインジョブ赤魔道士でしたし、モンハンだと狩猟笛がメイン武器でした。
前に出て敵をガンガン皆殺しにしていくよりも、後衛に徹してPT仲間から「ありがとう」、「GJ!」って言われるのが、私にとってのMMOの楽しみ方です。
キリト以外のプレイヤーに焦点を当てた物語というのも読んでみたいですが、これにてゲームはひとまずクリアでしょうか。3巻は現実世界へと展開していくらしいが、どうやって繋げていくつもりなのか気になります。文庫化にあたって元の原稿をかなり改変しているそうですが、手を加え過ぎて良い所まで削ってしまわないかが心配です。
ちなみにweb版ではシリカの着替えシーンがあったらしいが、それは残せよおおおおおおおおお!!