ガジェット 無限舞台 BLACK&WHITE (角川スニーカー文庫) 九重 一木 角川書店(角川グループパブリッシング) 2009-07-01 by G-Tools |
クラス一の美少女・真白に、校舎の屋上に呼び出された翔。そこで彼は“夢を見続ける神”に遭遇する。“神”は翔に、真白を“端末”の呪縛から解放することを命じ、特殊能力“傷”を与える。さらに、真白の双子の妹・黒乃が現れ、自分はバグってしまった真白の「補正プログラム」であると告げるのだった―。
典型的なセカイ系。漢字にルビだらけ。主人公は根暗、ヒロインデレデレ。嗚呼、素晴らしき中二病。
こういった中二病ヒャッハァ!な作品がウェルカムな人ならさぞかし美味しいんだろうけれど、ぶっちゃけ、何を語りたいのかが作者の脳内だけで完結していて、さっぱり読者に伝わってないです。
終始、ストーリーが支離滅裂で、読み手が納得できるだけの説明を示さないまま話が進んでいく。これではマトモに読んでいられません。
誰からも特別な存在にならないよう無個性であろうとしている翔が、何故あそこまでしつこく古書店のバイトをしたがるのか、それにどうして真白に告白が誤解だと言い出さないのかなど、いろいろ矛盾する言動を多くとっている。
敵である<侵略者>にしても、真昼間のデパートのトイレで人を殺しているのも変だし、人前や監視カメラに堂々と顔を晒しているのに警察沙汰にならないのはどうしてなんでしょう。あれだけ犯行が稚拙でよく今まで捕まらなかったものですね。殺人が嫌なら他に人のいないところで暮らすなり、殺人衝動を抑えれるように身体を縛り上げるなりすりゃあいいのに何で無対策なの?
キャラの行動原理に深い理由付けがなく、つねに衝動的で脈絡がない。
メインヒロインの真白よりも、「日本一包容力のある小学生」の方がキャラとして魅力的なのは誰の目から見ても明らか。次点が黒か世界ちゃんかは、人によって分かれるところだけれども、女店長や傷娘も含めたヒロイン勢の中では真白はぶっちぎって最下位でしょうね。あまりにも主人公にとって都合のよいヒロインというのは、それこそつまらない。
問題が発生してそれをちゃんと解決しないまま次の問題が持ち上がって、事件が起きて駆けずり回っているうちに有耶無耶になって、いつの間にかなかったことになっている。
物語に不都合な部分については、「そういう世界観だからです」で誤魔化すのは完全に作者の独り善がり。中二病がどうとか、邪気眼設定がどうとか言う以前に、理論立てて文章を書けないのならば、他人に読ませるべきではありません。
絵師が植田亮のため絵だけは秀逸。これは『イラストに騙された名無しさん』大量発生の予感。
続編のシリーズ2巻は秋頃の出版だそうですが、もちろん買いません☆
確かに言われてみたらそうだなって思う所もありましたが
もっと広い心を持って読みましょうよwww
ちなみに個人的にはこの作品好きですよ
私はリアリティがない作品はダメですね。
登場人物が異能力を持ってようが、神と戦う運命が待ち構えていようがそれはいいんですが、それならしっかり世界観を読者に説明すべきですし、不自然にならないようにキャラクターを動かさなきゃいけないと思うんですよね。
そして、
>
こういった中二病ヒャッハァ!な作品がウェルカムな人ならさぞかし美味しいんだろうけれど、ぶっちゃけ、何を語りたいのかが作者の脳内だけで完結していて、さっぱり読者に伝わってないです。
あまりに的確なレビューに吹きました。自分もちょうど本作のレヴューを書いているので、参考にさせて頂きます。失礼致しました。
コメントありがとうございます。
まあラノベでこれ言っちゃいけないんでしょうが、「リアリティがない」んですよね。
別に主人公が異能使ったり、非現実的な出来事にまきこまれる展開はかまわないのですが、もし現実に同じ事が起きたらどうなるのかを、ちゃんとシミュレートできていない。
作者の頭で描いているプロット通りに進めるために不自然を取り残してしまっているのが、読者にとっては一方的に感じるし、残念だと思いました。