R-15 ようこそ天才学園へ! (角川スニーカー文庫) 伏見 ひろゆき 角川書店(角川グループパブリッシング) 2009-07-01 by G-Tools |
芥川丈途は15歳にして、新聞に連載を持つ天才エロ作家。そんな彼が天才ばかりが集まる閃学園に入学した途端、女子寮のぞきの犯人にされるというエロトラブルが勃発!さらにクラス対抗オリエンテーションも開かれ、学園生活はわちゃめちゃ。果たして丈途のエロの才能で、クラスは NO.1になれるのか!?
エロの感性が、新時代を切り拓く
15歳のポルノ作家の少年と面白愉快な天才だらけの生徒たちが繰り広げる学園ポルノグラフィー。
タイトルから誤解と期待を受けそうですが、エロは抑えられていますので安心と失望をしてください。
様々な分野の天才児たちが掻き集められた特殊な学校というだけあり、一見して普通のようでも天才としてどこか凡人とはかけ離れた感性の変人ばかりで、頭のネジが数本飛んで盛大にアクロバット編隊をかましているような先輩やら級友たちのハッチャケぶりが愉快痛快でした!
ポルノ作家として中学では周囲から非難を浴びていた主人公・丈途ですが、入学早々、"やらかして"しまったことで「のぞき魔」と疑われ、またもや針のむしろに晒される不条理に遭いますが、だって端から見ても変人の中で一人際立って変態っぽいですもん、まあ疑われても仕方がない。
しかし、女子陣から毛嫌いされていた丈途も、新入生オリエンテーリングからエンジンがかかってくる。
クラリネット奏者の少女・吹音に勝利の景品であるウィーン旅行をプレゼントするため、クラス対抗戦に奔走するうちに次第に彼を見る目も変わってきて、数学界の天才少年・律や天才ハッカー・蘭たちと協力するうちに、それまで個人主義の強かったクラスメイトも自然と彼を中心にまとまるようになり、最後にはクラス一丸となってひとつの舞台を作り上げていくところは素直に感動しましたね。
出る杭は打たれず、むしろ出なければ無能として打ち捨てられる。とてもシビアな校風ですが、天才として期待されている彼らに、才能に胡坐を組んで努力を怠っていては凡人と同然ということを新入生のうちから身を持って教え込む。今回のオリエンテーリングはそんな思惑もあったんじゃないかなぁ。
まあ先輩方はノリノリで楽しんでましたけどね。いかにも上から目線で無茶苦茶言いますねぇw
最初、主人公をどんな方向にキャラ立ちさせたいのかが曖昧で、ファーストインプレッションが掴みづらかったのですが、ときおり妄想癖が暴走することはあるものの普通の少年として感情移入していました。
百合や一部の腐った人たちが喜びそうなカップリングの仄めかしもあり、奇妙でけったいな人間関係が次々と構築されていくところには思わず苦笑してしまう。
場面によって構成がゴチャゴチャしていたり拙い部分もあるけれど、この作風は好きかもしれない。
若干、話のまとめかたが尻つぼみになってしまっている感もありますが、あとがきによるとすでにシリーズ化が決まっているようなので続編に期待。