耳刈ネルリと奪われた七人の花婿 (ファミ通文庫) 石川博品 エンターブレイン 2009-06-29 by G-Tools |
いつものように農芸隊の活動に勤しむレイチとネルリ。そんなある日、彼らは舞姫チェリの華麗な踊りを目の当たりにする。彼女に感心しきりのネルリだったが、なりゆきでチェリと演劇大祭の舞台で勝負すると宣言!問題児たちの舞台は八高に何をもたらすのか!?
今宵は、一世一代の革命劇
諸国の王族も通う"八高"で、個性豊かな問題児たちが繰り広げるドタバタ学園コメディ。
相変わらずどこかヘンテコな歌やら文化やらに吹き出してしまう。なんで古文にウィキがあるねん!
ネルリの負けず嫌いから始まった十一組の『耳刈ネルリ』のミュージカル化計画ですが、あの個性派揃いのイロモノ集団がここまで本気で演劇に打ち込んで、ちゃんとした舞台になるとは思ってなかった。
なんともユニークでネルリの勝手なアドリブで右往左往する仲間たちのドタバタっぷりが楽しかったです。
歌劇で演じる初代ネルリの気持ちに悩むネルリに、男性陣がネルリにハーレムのすばらしさを知ってもらおうと個々にアプローチを仕掛けるところなんて、急にモテモテになったネルリ自身も満更ではなく途中まではいいムードだったのにあっさりバレてお仕置き部屋行きに。コイツら本当に馬鹿だなぁと思うけれども、そんな下らない事で大騒ぎできる彼らの若さがうらやましい。
それにしても、お調子者レイチの妄想っぷりは際立って変態ですね。欲望に衝動的すぎるだろ。
自分らしく生きろという二人の兄の教育方針が、なんか別方向に練成されてしまっている気がする。
でも、とっさのネルリのアドリブにも対応してみせる状況判断はなかなかだし、目立つ人物でもないのに自然と人が集まってくるし、土壇場でこそ胆が据わるあたり、案外、大物なのか?
舞台で初代ネルリを演じていても、いつものネルリそのままってカンジですね。
目立ちたがりで融通がきかなくて癇癪持ちで頑固。でも女の子らしさを隠し持っている。暴君だけれど人間臭い。舞台パートを読んでいると、そんな彼女がなんだか可愛らしく思えてきちゃいました。
しかし、ただの学校の演劇が、ネルリの国で文化革命を起こすまでになるとは、影響力が恐ろしい。
レイチもネルリもお互いの想いに揺れ始め、また二人の距離感が縮まったことですし、このままなし崩しにイチャラブ化していくのかはわかりませんが、まだまだ二人の生まれや文化や風習の違いなど立ち塞がる壁は多そうなので、それらをどうやってブレイクスルーしていってくれるのかが見物ですね。続きを期待しています。