ダフロン

2009年06月19日

みんなのヒ・ミ・ツ/鯨 晴久

4797355395みんなのヒ・ミ・ツ (GA文庫)
鯨 晴久
ソフトバンククリエイティブ 2009-06-15

by G-Tools

自分のしかけた誘惑に屈しなかったことに腹を立てた悪魔リルによって「他人のヒミツを知ってしまう」能力を得てしまった草薙和人。その力で知ってしまったのは、なんと学年でも一、二を争う人気者で美人の椎名沙紀のヒミツだった! リルはそのヒミツを盾に、沙紀をモノにしてしまえとそそのかすが・・・・・・

 乙女のヒミツは恋の予感

 女の子の秘密を知ってしまう能力を持った少年と秘密を知られてしまった女の子たちのラブコメディ。

 ベタなラブコメだったけれど、ヒロインがみんな可愛かったり個性豊かで面白かった。
 夢魔リルの見せる淫夢に騙されなかったせいで、『女の子のヒミツを知ってしまう』という嫌がらせを受けるようになった主人公・和人。そのつもりもないのに次々と女の子たちのヒミツを知ってしまい、「ヒミツを盾にモノにしてしまえ」と小悪魔がそそのかしてくるという・・・・・・、これ設定だけだとモロ凌辱ゲーだよなと思ったりなんかした。

 ヒミツを知っても脅迫は一切しないという信念を貫く和人ですが、ヒミツを知られてしまった女子たちが、そんな彼をそばで見張っているうちに次第に意識し始める。
 テンプレといえばテンプレなツンデレなんだけど、恋愛オンチな椎名沙紀が初々しくて可愛かった。
 いかにもモテそうでイマドキの女子高生風なのに、中身はピュアでドジっ子なギャップがいい。
 周囲に本当の自分を偽っているという負い目もあるんだけれど、その辺りは女子の勝手な偏見の被害者とも言えて同情してしまうな。女の子の論理って不条理すぎるんだよ男には。
 和人も美少女のヒミツを知ってもそれを利用せず、守ろうと東奔西走する姿が男らしくてよかった。

 沙紀が恋心を自覚するに至って、秘密を共有するもの同士の仲も良好だったのだけれど、そんな穏やかな関係に業を煮やしたリルによってぶち壊されることになるとは思いもよらなんだ。
 というか、リルのやったことは勝負の決まった遊戯盤を引っくり返すとか、ババ抜きの手札を強引に晒すようなもんだよなぁ。リル自ら脅迫材料としての価値を無くしたんだから、あの時点で和人との勝負は反則負けじゃねぇのかよ。

 しかし、その後の和人の起こしたこぼれた水をもう一度盆を戻してしまう荒技はファインプレーだった。
 再びヒミツを共有する関係に戻りつつも、お互いに一歩近づいたかな、和人だって沙紀のことはまんざらでもない様子なのだけれども・・・・・・。
 ときに本命と言い続けていたほのかが、ラブコメパートにほぼ空気なのは残念というか、いいキャラなのに勿体無かったな。よっぽど空気でいい野郎も一名いたがな!
 それこそKNEG(=KoreNanteEroGe)な作品でしたが、ラブコメとしては心理描写も魅力的に、主人公も格好良く、全体的にはスタンダードによい出来でした。


posted by 愛咲優詩 at 00:00| Comment(0) | TrackBack(0) | GA文庫 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:


この記事へのトラックバック