![]() | レンタル・フルムーン〈第1訓〉恋愛は読みものです (電撃文庫) 瀬那 和章 アスキーメディアワークス 2009-06-10 by G-Tools |
高校生・桐島新太は、不思議なモノが“視え”てしまう困った体質の持ち主。偶然見つけた貸本屋「満月堂」に立ち寄ると、そこにはやけに態度の大きな店員の女の子・ツクモがいて、自分を“世界の設計図”を補修する“観測者”だと言い、仕事を手伝うように命令する。しかも手伝わないと世界が終わるって・・・
恋愛は、いつだってルール無用
ちょっと不思議なものが見える少年と世界の空白を補修する任務を負った少女の物語。
残念なご主人さまに一身に仕えるちびっこオコジョ娘・クルンが健気過ぎて泣いた。
貸本屋『満月堂』の主人にして、密かに世界の空白を補修する観測者として活動する傲岸不遜なヒロイン・満月ツクモですが、大きいのは態度と口先ばかりでいつも空回り、ときには仲間を大ピンチに陥れる役立たず。
しかし、本人は自分が足手まといである自覚もないため反省も謝罪もないという、もし相手にしたら非常に疲れそうな"残念"な美少女でしたね。
一方、毎度主人のツクモを立てて手柄を譲ってあげる従者のクルン。なんてイイ奴なんだ(感涙)
ってか、主人公・新太とツクモのキャラがイマイチ気に食わないんだよなぁ。
二人とも重度の読書家なのですが、本って自分の世界を広げるために読むものなのに、ツクモは『満月堂』に籠ってて人間関係には興味がないし、新太は自分ルールのようなものを作って自分を縛っていたり、見るからに人間として器が小さいという、視野が狭いんだもん。
その辺りが私的に理想とする本読み象を結びつかなくて受け入れがたかったのかも。
まあ登場人物がみんな、人間として"残念"なキャラクターというのはちょっと面白かった。
小雪の新太フラグと見せかけて百合展開になっていったのは予想外だったし、普段の姿から想像できなかったフジエルの魔法少女ぶりには爆笑した。挿絵がGJ!
異世界の侵略者は白鳥だし、天使が『遊○王』やってるし、ストーリー終盤はやたらシュールでウケた。
前作の『unber』と比べると、コミカル要素が倍プッシュ、中二病度数はやや低め。
全体的に読みやすい文章になっているが、どこかこう"もやもや"した気持ちにさせるドロっとした暗さもあるように感じるのはやっぱり作風なのかなぁ。
続きを読みたいかと聞かれたら、正直、微妙。脇役は好きになれそうだけれど、主人公とヒロインが合わない。
つまらないとまでは言えないけれど、この作者とは相性が悪いような気がしている。
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