GENEZ-1 ジーンズ (富士見ファンタジア文庫) 深見 真 富士見書房 2009-05-20 by G-Tools |
一見普通の進学校、実は民間軍事会社グリークスが管理する海神学園。その特進クラスに通うゲーム好きな少年兵・謙吾は、幼なじみのユキナとともにヴェルトハイム公国から帰国した妹を迎えるが、見えざる敵に襲われ!?
正義のヒーロー、貸します
GENEZと呼ばれるパワードスーツを装着し、世界平和のために戦う学生兵士たちの学園アクション。
近未来SFものかと思えば、ゴーレムとか、不死者とか、オカルトも混ざってきてなんだかわからん。
高校をカムフラージュに傭兵を海外派遣する民間軍事企業とそこに所属する学生たちの話なのですが、スケールは大きいし、アクションもド派手なのだけれど、手離しで称賛する気分になれないのは何故でしょうか。
深見真を語れるほど作品数を読んできていないのですが、相変わらずB級映画っぽいと各所で言われてしまう理由は、あれもこれもと欲張りすぎてキャラやストーリー要素を詰めこんで、個々の掘り下げが浅くなってしまっているせいじゃないかしら。
そしてキャラに違和感を覚えると思ったら、そうか普通の高校生っぽさがないんだ。
まあ、学生兼傭兵だから普通の高校生の思考と違って当たり前なんだけれど、話の中に入っていきにくいんですよ。どこか、TV画面の向こうの世界を見ているみたい。
恋愛、コメディ、ミステリー、アクション、その他、一般的に読者が求めるものは概ね揃えているのだけれど、どれかが突出しているこということはなく、"ガツン!"と心に響くものが感じられなかった。
読んでいる間は確かにストーリーも波瀾万丈でスピーディに展開して飽きさせないのだけれど、読み終わってみると、とくになこかが強く印象に残っているということもなく・・・・・・。
どこが一番面白かったか、どのキャラが一番好きかと聞かれてもとても困ってしまう。
例えるならファミリーレストランのメニューみたいな。どの料理もそこそこ美味いが、画一化されすぎていて、「これが店の看板メニュー」と強く知らしめる料理がない。
しいていえば、深見真作品で必ず登場する『銃火器』がそれになるのでしょうが、だったら単品勝負でそれだけを深く詰めた話を作ればいいのに、そこに余計なオカルト要素を持ち込むから、世界観がぶれておかしくなる。
一般的に見ればクオリティは高いんだけれど、とんがってる部分がないので、逆に評価しにくい。
作者が嫌いだと断言できるほど、やはり作品数は読んでいないので、いつものバッシング注意報マークはつけずにおきましたが、心中ではとても微妙でした。