![]() | 文芸部発マイソロジー (一迅社文庫) 早矢塚 かつや 一迅社 2009-05-20 by G-Tools |
黙っていれば美少女なのに、口を開けばクトゥルー神話だの何だのクセのありすぎる話しかしないという、須弥伊緒たち第二文芸部員。彼女たちと過ごす近藤寛二は、部活動の一環で創作した神話世界が本当に生まれてしまったことを知ってしまう。しかも、いろんな世界の神様を連れて来られるという設定にしたばかりに、その世界が大変なことに…。
ようこそ創作世界へ!
自分たちが創作した世界の神となって、外の世界の神々の侵略から守る文芸部員たちの物語。
創作した神話の世界で神になって戦うというロール・プレイスタイルの作品コンセプトが面白かった。
ヒロインたちも無表情クールだったり、クトゥルフ信者だったり、お気楽極楽娘だったり、あまつさえ自分たちが作った創作世界の巫女さんだったりと、彩り豊か。
部内ハーレム全開なのも、ややテンプレだが、主人公の寛二以上に女子部員たちがハーレム参加にノリノリムードなのが可笑しい。
完全に創作の世界なのだから、どうせなら既存の神話の設定をパクってくるだけではなく、もっとオリジナリティな神やら、アイテムやら、中二病展開が欲しかったところ。
せっかく「邪眼ノート」という便利なひみつ道具があるのだから、もっと珍妙奇天烈な世界を思い描けなかったのかなぁ。文芸部のわりにちょっと妄想力が乏しいなとは思いました。
中二病とか、邪気眼というより、神話オタクの集まりみたい。
ドラえもんの映画は、『雲の王国』が一番好きです。子供たちだけの王国を作るという夢あふれるテーマと、当時から環境破壊を題材にしていたのがすごい。ドラえもんがタンクに突っ込むシーンはいまでも泣けるんだぜ!
子供たちだけの箱庭を作るという点では『日本誕生』、『ねじ巻き都市冒険記』、『創世日記』も同じかな。どれも独自の世界観を作りだそうとしていて面白い。
でも、『太陽王伝説』以降の作品は、好きじゃないんですよね。なんだか話の起伏に欠けてて・・・・・・。
やはり藤子・F・不二雄という人物は、偉大なクリエイターだったんだとお亡くなりになってから思いました。
学生が趣味で書いて楽しんでるうちは、どんな自慰小説、中ニ病小説でもそれは構わないと思う。
さすがにちゃんとしたレーベルから出版していて、読者から金をとるのなら第一に読み手が楽しめるものを書くのは、プロの作家として至極当然ですけれど。
中ニ病な物語はいつもは「嫌い」と断言している私ですが、一応は自分の中で「つまらない中ニ病」と「面白い中ニ病」の区別はあるんですよね。
『ビター・マイ・スウィート』や『この広い世界にふたりぼっち』なんかは、作者の脳内だけで世界が完結し切っていて不条理極まりなく読んでいてひたすらイタいだけなのですが、『とある魔術の禁書目録』や『灼眼のシャナ』なんかは絶賛中ニ病であっても面白いと言わざるを得ないでしょう。
というか、よく考えたらライトノベルの大半は中ニ病ですね。中ニ病なライトノベルは、ライトノベルぢゃない!と言ってしまってもいいかも。
だから問題なのは、どんな読者でも楽しみを見出せる作品作りを一番に考えるべきということかな。
作者の早矢塚さんは、青春小説にちょっとの非日常を絡めたカンジのストーリーが持ち味ですが、肝心の非日常パートの方が、いつも無理矢理な設定なんですよね。ある意味、不条理系っぽい。
この非日常パートの部分にしっかりと説得力のある設定を与えられるようになれば、いまより売れる可能性もあると思うのですけど。
ときに、神様の数え方は「人」ではなく「柱」だよねぇ。どうでもいいけれど、なんか読んでて気になった。
↑死ねばいい