放課後限定勇者さま。 (電撃文庫) 七飯 宏隆 アスキーメディアワークス 2009-05-10 by G-Tools |
『将来の夢はニート、もしくは引きこもり』である主人公・格里終夜は、なぜか突然異世界に召喚された。そして露出が激しい装備品を着けた美少女から、「ともに魔王を倒してくれ」と誘われた。よくよく話を聞いてみると、どうやらぼくは勇者らしい……。ニート“勇者”が世界を救う!? 露出豊富な王道ストーリー
勇者したら、負けだと思ってる
不真面目ニート勇者と熱血お嬢様勇者が魔王討伐を目指して異世界へ旅立つ王道ファンタジー。
天然、巨乳、お姫様の正統派ヒロイン・レウルーシカのえっちぃ装備を堪能するだけの簡単なお仕事。
いくつもの平行世界を救う勇者のやることが、それでいいんだろうかと首を傾げるほど、エロイベントばかりのラブコメでした。まともなファンタジーを描くつもりは最初から無かったんでしょう。世界を救うよりも、作者のラブコメ脳を救う方が、よほど難しいに違いない。
世間知らずなお姫様であるとはいえ、レウルーシカの露出狂っぷりは酷い・・・。
普段の装備からして、でっかいお胸は下乳がはみ出てるし、下半身はとんでもなく際どいローレグ・・・・・・。どの世界であっても、勇者というより、痴女か変態だろう。
性格は純真無垢で良い子なのは分かるんですが、一人だけやる気に燃えていて暑苦しいというか、生真面目なので相手しているとすごく疲れそうで気が休まらなさそう。
でも、ときどき逆ギレして意地を張る姿は妙に子供っぽくて可愛かったり、勇者という重責に思わず弱音を吐露してしまう場面なんかは、萌えますね。
根性ヒネクレ系主人公・終夜も、「世界を救う」なんて大義より、どうにも危なっかしいレウルーシカが心配になって、「次はもう助けないからな」といいつつ毎度手助けしてしまう様子にニヤニヤ。
レウルーシカの従者であるレギンレイヴ族相手にツンデレるところなんか個人的に大ウケです。
このレギンレイヴ族の猫たちが、実に人間味があって愉快な奴らなんですよね。口が達者で、適応力があって、やたらずうずうしい。是非ともうちに一匹欲しい。
戦闘に関してはチート性能なレウルーシカに対し、珍しい異能を持っているとはいえ、戦闘にはほぼ無力な終夜が、魔王の手下に立ち向かうまでの激しい懊悩と葛藤がまた燃えます。
自分一人なら簡単に異世界に逃げることも出来ただろうに、怯える自分を抑えて立ち上がり。
そして「世界を救うため」ではなく、「誰かを守るため」に勇気を振り絞って敵に挑んでいった彼は、まさに「勇者」の名に相応しいでしょう。
それまではどこか中途半端だったのが一皮剥けて、読んでいて心をぐっと掴まれましたね。
エロだけ過剰に多いのは、好きな人は好きなんだろうけれど、ただエロいだけならもう飽き飽きしてるよという声もありそうな気がするな。というか私だけど。
エロいのは好きだし、それをメインに据えた話を作ろうとするのもいいが、もうちょっと他の作家の作品とハッキリと差別化が見れるような工夫が必要だと思った。
ところで最近は、「放課後」という言葉を含めるのがタイトルのブームなのかしら。放課後にトゥーランドットだったり、百物語だったり、魔術師だったり、世界征服だったり、プレイだったり、やたらと氾濫しているような気がする。「放課後」というのは、日常の中の非日常を連想させるフレーズのかな。