![]() | とぅ うぃっち せる! (電撃文庫) 一色 銀河 アスキーメディアワークス 2009-05-10 by G-Tools |
人見知りの激しい美鈴川エステルとお淑やかで誰にでも優しい黒瀬さくら。いつも一緒にいる二人を(主として好みのタイプのさくらちゃんを)ボクはずっと気にしてた。でも、とある事情から、ボクは二人がずっと一緒にいる理由を知ってしまう。そう、ボクが「さくらちゃん」になってしまうことによって・・・・・・。
べそかき魔法少女の憂鬱
片思いの美少女に憑依してしまった少年と人見知りの魔法少女のTS系ラブコメ。
主人公の遼平そっちのけでヒロイン二人に百合属性が濃かった。いいぞ! もっとやれ!
まあそれもそのはず、二人は「魔女」と「使い魔」という切っても切れない関係であり、魔物との戦いに巻き込まれ、死んでしまった遼平は密かに憧れていた「使い魔」・さくらの肉体に魂を憑依して生き永らえ、「魔女」・エステルと「使い魔」・さくらと仲を深めていくのですが、それほど倒錯しきったTS展開はない気がします。
むしろ、思春期の男子なら当然といったエロいことを企んでは、エステルにしばかれるというような、ある種の予定調和なラブコメになっています。
高校二年生だというのに小学生かというほどのロリっぷりなエステルのキャラが実にあざとい。
人見知り故に友達が作れなくて、魔法の素質はあるのに実戦だと役立たずで、伝説の魔女と称えられた母親に劣等感を持っていてという、内向的、消極的、ネガティブと三重のダメっぷり。
そこがついつい守ってあげたくなる父性本能を掻き立てるというか、大きいお兄ちゃんのツボを刺激してやまない。(幼女じゃないから、犯罪じゃないもん!)
教室では優等生なさくらを演じつつ、将来ニート確定なエステルの社交性を育むべく世話を焼いたり、学校に潜む魔物を退治するために奔走したり、エステルを手助けするようになっていく。
さくらに依存しきっていたエステルも徐々に遼平に頼るようになり、彼を信じて魔物に立ち向かっていったりと、自身の成長と彼へのほのかな好意を見せはじめる。実にチョロいですね。
このままでいくと遼平はエステルルートに入っていきそうだが、ここでさくらの方のフラグも立てておけば、夢の主従二股ルートという道が開ける気がしてならない。
今後、三人の関係がどう変わっていくかは興味深いが、世界観とストーリーについては、まさにありがち、あながちという印象をぬぐえなかった。
あとがきでは、「次回作」としか書かれていないが、もしこのシリーズの続編を出すつもりであるならば、今流行のTSであったとしても相当に難しいと思う。
というか、一色銀河さんの本は、やっぱりスポ根が読みたいんじゃぁああああああああ!!!