神曲奏界ポリフォニカ ダン・サリエルとイドラの魔術師 (GA文庫) あざの耕平 ソフトバンククリエイティブ 2009-04-15 by G-Tools |
あがり症が克服できず、人まえで演奏できないでいるアマディア。そんな彼女が久しぶりに再会した幼馴染みは、なんと新人音楽家として、華々しくデビューを飾っていた。焦り、嫉妬を覚えるアマディアだったが、幼馴染みの少女は意外なことを口にしたのだが・・・。
苦悩を突き抜け、歓喜に至れ!
新進気鋭の天才音楽家。けれども性格は最悪なダン・サリエルと愉快な仲間たちの日常を描く短編集。第二弾。
あー、もう、どうしてこう音楽家とか、芸術家とかいう人種は、性格がねじ曲がってて、面倒くさい連中ばかりなのだろうと思わずにはいられないな。
まさに傍若無人、自己中心的なサリエルのドSっぷりにますます磨きがかかってます。
仕事先では猫を被りつつも、ごく一部の前では本性を露わにする彼ですが、それでもアマディアの演奏には劣等感を抱かずにはいられず、内面では葛藤しつつも、意地を張って振る舞う様子が、やたら人間味を感じられてとても可笑しい。
ダン・サリエルだけでになく、いつも失敗ばかりなメイドの精霊モモや極度のあがり症で人前で演奏できないアマディア、そんな彼らの騒動に毎回つき合されるコジなど、クセのあるキャラクターが活き活きと動き回って、話を豊かに盛り上げているのがとても楽しい。
いやぁ、サリエルに苛められているモモやHPゲージを削られて瀕死寸前なアマディアは可愛いなぁ。くふふ。
公園からの立ち退きを巡ってサリエルとコジが対決するお話では、次第に周囲の観客を巻き込んでヒートアップしていくバカ騒ぎっぷりに大笑い。
メンバーの中では、コジは常識派だと思っていたのに、サリエルと一緒になってアレだもんなぁ。
そういえば、前にも金魚に反応していましたね。もはや、彼はにゃんこキャラとして生きていく道しかないのか。
バカ話ばかりではなく、後半では実力主義の厳しい芸能界の裏事情が描かれれます。
「これは私の音楽じゃない」と、いっぱしのアーティストを気取るリジアに、仮にもプロを名乗るなら、どんな仕事であろうと、新人にチャンスがもらえただけでもありがたいと思うべき!と反感を覚えたが、P285のコスチュームを見たあとだと、私が間違っていたと思わざるを得ない・・・。
こんなコスプレを強いるシャマル氏は、サリエルに負けず劣らずのドSだわ。そりゃ、逃げたくもなる。
ドSな上司に虐げられるリジアという仲間を得たことで、アマディアもちょっとは吹っ切れた感がありますが、まだまだですかねぇ。先は長い。リジアは、またいずれ出てきて欲しいな。
そういえばこの作品のシリーズ名ですが、編集部だけでなく、読者やラノベサイト界隈でも、「ポリ銀」と呼ばれていますし、もう「ポリ銀」でいいんじゃないかな。
シェアードワールド・ポリフォニカも、そろそろ他のシリーズでは脱落者が増えてきたことだし(ポリ黒は頑張って読もうよ、諸君!)。この「ポリ銀」には新たな読者を惹きつけるカンフル剤となってくれることを期待しています。