俺の妹がこんなに可愛いわけがない〈3〉 (電撃文庫) 伏見つかさ アスキーメディアワークス 2009-04-10 by G-Tools |
桐乃が、創作活動に目覚めた。桐乃の書いたケータイ小説は、同じく同人で小説を書いている黒猫にとって理解しがたく、案の定、口論に。その上、何を間違ったのか、ネット上で話題を呼んで、出版社からオファーが来て・・・
もうやめて! ワナビのライフはもう0よ!
ティーンモデルで陸上部エースで優等生の人生勝ち組な妹とごく平凡な兄のオタクライフコメディ。
これまでもオタク全般をネタにしてきたこのシリーズですが、今回は一部の作家志望をピンポイントで狙い撃ちにしちゃってます。繊細なワナビの方々に、あまり現実を突きつけないであげてください、同人活動だけが彼らの生き甲斐なのですから。リードオンリーな私ですら、読んでいてちょっと痛かった・・・。
お互いの書いた小説をけなし合いつつも、一部では理解して歩み寄ろうとしている桐乃と黒猫のヒネクレっぷりにニヤニヤ。そこまで嫌い合ってて、どうして付き合いはいいのか、奇妙な友情ですよねぇ。
傍から見ている側としては、どちらの意見も一理あるのですが、あまりにウザくて、喧嘩両成敗と、二人の頭にゲンコツを振り下ろしたくて仕方がなかったというのも事実です。
どちらも自分に酔って、読む側の人間の気持ちを考えてませんよね。自分の面白いと思うものを伝えたいと創作するのはよいが、価値観の押し付けはよくありません。
相手に受け入れてもらうためには、まず自分から一歩引くことが大切ですが、桐乃と黒猫は、その辺りが"イタいオタク"で、我が強すぎるんですね。謙虚さが足りない。
桐乃の場合、なまじっか見目もよくて、才能があるのも、増長する原因なんでしょう。もともとある資質に甘んじず、さらに磨きあげる努力家でもあるし。
しかし、一生懸命すぎて自分を追い詰めすぎて無理をするのも困りもの。凡人の兄としては、ウザくても、ムカついても、一人にしておくと危なっかしくて、真剣さが眩しくて、ついついお節介をしおてしまう気持ちも分かります。
黒猫と一緒に編集部に乗り込んでいくところは、同じく年下の兄弟のいる身としては、燃えるものがあります。
そういえば、書評サイト界隈では、何故か大好評の幼馴染・田村麻奈実ですが、個人的には余計なキャラだったりする。普通の人間からの視点としては兄貴がいれば十分だし、同性のアンチとしては新垣あやせがその役をこなしてくれたし。
立ち位置的に必要なくて、現時点でいてもいなくてもストーリー進行にまったく問題がないキャラクターにここまでページ数を割くよりは、黒猫か沙織さんの出番をもっと欲しかった。
今回もパートをもらっていますが、平凡すぎて、唯一、見る価値があるとすれば若干エロいところくらいか? エロは是非とも実妹としていただきたい、実妹と!!
いまさらですが、沙織さんは眼鏡を外したら、絶対に美人なんだろうなぁ。
実は予想外の大物的なフラグが立っていましたが、覚醒の時が待ち遠しい。
今回の話も、『ばけらの』や『ライトノベルの楽しい書き方』みたいな、セルフパロディになるんですかねやっぱり。まあ、前からセミフィクションも混じってましたが。
最後の最後で、気になるセリフを残しましたが、さて、次回はどんなドタバタとなるのか。
ばけらの! (GA文庫) 赤人 by G-Tools |
ライトノベルの楽しい書き方 (GA文庫) 桐野 霞 by G-Tools |