![]() | ご主人様は山猫姫 辺境見習い英雄編 (電撃文庫 た 12-21) 鷹見 一幸 アスキー・メディアワークス 2009-04-10 by G-Tools |
エリート一家で唯一の落ちこぼれ晴凛が、やっとの思いでありついた仕事は異国の姫君の家庭教師。わがままで気に入らないと暴れまくる超問題児ミーネ姫に翻弄されつつも、なんとか教師が板についてきた晴凛だが、和平を結んでいたはずのシムールが帝国に宣戦布告をして・・・。
おてんば姫と半熟英雄
帝国人でありながら遊牧民の姫君に仕え、戦いの中で英雄へと駆け上がるヒロイックストーリー。
鷹見作品の毎度恒例の、凡人主人公による勧善懲悪の仮想戦記モノです。
今回は、世界観も登場人物も中華風ファンタジーとなっているのが、珍しいといえば珍しいが、やっていることは、既存シリーズとまったく変わりません!
つくづくテンプレだなぁとは思いますが、これはこれで読者の期待を裏切らないという安心感があるんですよねぇ。例えるなら、『水戸黄門』のようなものかな。正義と悪がキッチリ区別されていて、最後に悪人が成敗されるというのが分かっているので、気負わずに読めるという。でも、厭きたなやっぱり・・・。
最初は、色気も可愛げもないじゃじゃ馬なお姫さまミーネですが、次第に晴凛に懐いて、それなりに恥じらいを覚えるようになってくると、それまでの破天荒な言動も妙に愛らしく思えてくる。
礼儀作法や社会常識への理解は世間知らずな面もあるけれど、決して恥知らずな乱暴者ではなく、晴凛から受けた恩をなんとか返えそうとする律儀さは、他のどんなものよりも得がたい資質でしょう。
まあ本音はそんな小娘よりも、本当はミーネのお側付きの味醂さんがお気に入りだったりする。
罵倒謙譲語な無表情メイドはいい。もっとこの行かず後家を出しやがってくだ-=≡○)`Д)・∵.そげぶ!
晴凛の努力もむなしく、一部の愚か者のせいで帝国とシムールで戦端が開かれてしまいましたが、族王の立場では面子を立てるため、犠牲を少なくするため帝国と戦争を始めるしかなかったにしても、彼としては晴凛がその戦争を止めるきっかけを作ってくれることに期待していたんじゃないかな。
現時点では、宣戦布告そのものは他の都市には知られていないし、地方の紛争レベルで事態を収められるとよいのですが、今後の晴凛とミーネの行動次第でどこまで戦争の大局化を防げるのかに注目ですかね。
っていうか、シリーズ1巻目から、いいところでぶった切って次の巻に続くのってどうなの?
1巻目ぐらいは、ちゃんと一巻完結にしましょうよ。『ガンズハート』もそんなんだったけどさ。
鷹見作品は多分、全作読んでいると思いますが、最近は妙にオタ臭くなったように感じる。
個人的には、『時クロ』と『でたまか』は、まちがいなく名作。だが、『小さな国』が黒歴史すぎた。
できれば、『会長の切り札』シリーズみたいなのをもっと書いて欲しい。あれはわりと評判いいです。
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