ダフロン

2009年03月24日

読書の時間よ、芝村くん!/西村 悠

4758040613読書の時間よ、芝村くん! (一迅社文庫 に 2-2)
西村 悠
一迅社 2009-03-19

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再会をはたした幼なじみの芝村和樹は、早崎夏耶をすっかり忘れていた。約束を思い出させようと和樹を追い図書室に足を踏み入れた彼女は、謎の文学少女「春奈」に出会う。そして本の世界に入ってしまうという不思議な体験をすることに・・・。

 愉快で楽しい読書のお時間です

 『マギノビ』と呼ばれる物語に寄生するウィルスを追って、現実と本の世界を行き来する少年少女たちの冒険文学ファンタジーです。

 冒険家な幼馴染みをとるか、文学少女なお嬢様をとるか。まさに究極の選択を迫られるお話です。
 幼い頃に結婚の約束をした幼馴染みに相応しい女になるべく必死に努力してきて、ついに念願の再会を果したのに、相手はすっかり自分のことを忘れて、他の女子(しかも、美人!)と仲良さげにしていたら、そりゃあ、夏耶がショックを受けるのもわかります。
 ただ、春奈のような文学美少女に「読書の時間よ、芝村くん!」と、大好きな本の世界に行く興奮を抑えきれない笑顔で手を引かれたら、もう、火の中、水の中、本の中、どこにだって連れて行ってください!となっても仕方がないと思うんだよ。

 架空の物語に寄生し、現実世界に実体化させる『マギノビ』と呼ばれるウィルスを探すために、物語の中の世界に入り込み、大冒険を繰り広げるというのがこの話の本筋ですが、むしろ気になるのは、和樹をめぐる二人のヒロインの女の戦いですね。
 けれど、当の和樹は、鈍感なのとも違うが、わりと淡白な性格で、お節介焼き体質のおかげでフラグをおっ立てるも、二人をどう思っているのかはあんまり書かれていないので、どうにも煮え切らない気持ちにさせるなぁ。
 そもそもタイトルでは芝村和樹が主人公だと思えるが、実際は活躍するシーンとかも全然なくて、春奈に振り回される夏耶のド根性ストーリーとなっている気がしないでもない。というか、そうなっている。

 にしても、本の世界で出会うシンドバットやアーサー王がヘタレすぎる・・・が、そこが人間味あっていい。
 特にアーサーは最初は臆病者の少年なのだれけど、一目惚れしたギニヴィアのために勇気を奮い起こす姿は、オトコノコらしくてよかった。男子とはかくあるべし!
 単なるエロジジイになっているマーリンとか、一般的なイメージとギャップがあってよかった。

 まあ、何万冊も読んできた春奈が、アーサー王物語を知らないというのは、ちょっと不自然な気もしましたが、本来、巻き込まれただけの夏耶が自分の意志で『マギノビ』探しに関わる決意を描くためには、そういう事実も必要だったのかもと、渋々、納得。
 春奈と夏耶も友情めいた絆が芽生えて、現実嫌いの春奈を現実に繋ぎ止める一助になったのかと温かい気持ちになりました。

 どこかで読んだような話だなぁと思いましたが、『ブック×マーク』、『司書とハサミと短い鉛筆』あたりかな。
 似たような設定はいくらでもありますが、古典的な世界名作シリーズが好きな人なら、この作品もそれなりに楽しめるかも。

 ちなみに自分は、冒険ものなら『神秘島物語』、中世なら『三銃士』が好きです。
ブック×マーク! (ガガガ文庫)ブック×マーク! (ガガガ文庫)
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posted by 愛咲優詩 at 00:00| Comment(2) | TrackBack(0) | 一迅社 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コレは偏見かもしれませんが
ゆでそばさんがイラストの本っていまいちなんていうか盛り上がりに欠けるんですよね…
絵師として力不足って訳ではないんです。
ていうかむしろ好きです。

でもなんていうかさくらファミリアもこの読書の時間よ芝村君もなんていうかどこか主人公が孤立してるような雰囲気があります。

前者は突っ込みはしてるが本人に心から同調して共感してくれる仲間がいないし

後者はそもそも他の二人があまり夏耶の事を気にかけてないような気がするし…

これは文のほうの問題なんでしょうが絵のほうもなんていうかそれに手伝っているというか…
主人公と仲間が感情のやり取りをしてるって絵が少ないように感じます。

Posted by ちけっつ at 2009年03月25日 22:49
コメントどうもです。

>ゆでそばさんがイラストの本っていまいちなんていうか盛り上がりに欠けるんですよね…
あんまり燃えるシーンでの挿絵は描かないからだと思います。
女の子の立ち絵と、ヌードばかりですから。
"ばかり"で全然かまいません、私もそれが楽しみです。
春奈さんは、「いと、美乳」。

この作品も「さくらファミリア」も、どちらかというとヒロインがメインに立ち回って、主人公が脇役に回っていますから、地味にみえるのは仕方が無いかもですね。

そうした話の中身の問題もあるし、挿絵に登場する割合もあるしで、文と絵両方とも原因だと思いますよ。
Posted by 愛咲優詩 at 2009年03月26日 02:07
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