![]() | ラプンツェルの翼 (電撃文庫) 土橋 真二郎 アスキーメディアワークス 2009-02 by G-Tools |
混乱する事故現場で相沢遼一が託された歪にひしゃげたトランク。その中に入っていたのは、両膝を抱えるように丸くなっている精巧な人形のような……一糸まとわぬ少女だった。はたして彼女が危険な武器なのか、もしくは何かの道具(ツール)なのか、それとも──。
それは打算と欺瞞の共棲の日々
トランクに入っていた美少女と、それを押し付けられた少年が生き残りをかけて争うバトルロイアルもの。
おおまかなストーリーは、いつも通りの悪趣味なゲームものです。+同棲要素。
人間を喰らうバグと戦う天使となるために、七組の天使見習いの少女と宿主たる人間が協力し、最後の一組となるまで殺し合うといった、どこまでも不条理で、ナンセンス感ただよう一品です。
ゲームの中で戦いの道具として扱われる少女たち。自分を守るためにどこまでも軽くなる他人の命。争いを仕向けるかのような悪意に満ちたルール。追い詰められて歪んでいくプレイヤーたち。もうそこかしこから人間の醜い感情が臭ってくる。
人間不信というか、やるせない気分に陥れる技術にかけては、この作者は本当にすごい。
なんというか、人間性というものを、どこまでも客観視して、データ化して描いてるんですよね。
人としての倫理観と道徳観を捨て去り、温かみ優しさ思いやりを持たない、限りなくシステマティックな無機質な存在として扱われる。シビアでドライな世界に読者の意識を突き落としてくれます。
ただし、今回はそのあたりを自重したつもりなのか、やや温め。
主人公・遼一と奈々の関係も、当初こそはお互いの利益と目先の危機に立ち向かうための打算と計算でしかありませんでしたが、危機を乗り越える度に、徐々に本物の信頼が芽生えていく。
刷り込みの調教が功を奏したのか、最後にギリギリの一線でまともな理性が育っていなければ、主人公がヒロインに殺されるという凄まじいバッドエンドが待っていたことでしょう。
まあそこのところ、救済者側も、少女たちを天使にする生贄として、死んでもかまわないような人間ばかり宿主に選んでるような節もしましたがね。やっぱ、悪意バリバリだな。
終わり方はやけに綺麗なんだけれど、なんで天使やバグが生まれてくるかについては説明ないなぁ。
ルールの穴としては、結構あって潰しきれていないな。このゲームの必勝パターンは、ホームで守って、相手がやってきたところを罠にかけて、制限時間内閉じ込めるではないかと。
むしろ自分のホームにいて位置を辿られる方が危険かも。攻め手ならば誰かのホーム内に潜伏してひたすらプレッシャーを与え続けて疲弊させるというのも効果的かな。
漁夫の利を得たいならばホーム外をひたすら動き回る。全面的に戦いを避けたいなら、補給ポイントを全破壊してしまえばOK。主催者側が直してしまうかもしれないがな。
うーん、なんだかこっちまで悪影響が・・・・・・。悪辣卑怯なのは、昔からだって? いやですよハハハ
誰かのホーム内に潜伏するのも、向こうがホームから出てしまえば位置情報は丸裸になってしまいます。
補給ポイント全破壊は誰かと鉢合わせる可能性が高く、
しかも前補給ポイントを壊すために最低2ポイント使っているので、最高8ポイントVS10ポイントとなります。
全破壊後は完全にフル補給が出来なくなるので、ひとりだけー2ポイントのハンデを負うことになりますね。
動かないでホームで敵が来るのを待ち伏せていれば、相手の位置情報は関係ないのでは?
あと罠にかけるのは、常人である宿主の方です。
天使がいれば、必ず遠くない場所から見ているはずですから。
天使を閉じ込めても、宿主に逃げられてポイントを補給されたら意味がありませんし。
ここは天使よりも宿主の捕獲を優先すべきでしょう
潜伏作戦の場合。
確かに一旦ホームから出てしまえば、こちらの位置情報はわかってしまいますが、またホームに戻ってきたらわからなくなりますので問題ないかと。
精々、距離感ぐらいしかつかめないので、少し移動するだけでよいはず。
問題なのは、さらに第三者が同じエリアに入ってきた場合ですね。
ホーム側狙うか、自分の側を狙ってくるかはわかりません、三つ巴になりかねない。その場合は素直に撤退した方がいいかも。
補給ポイント破壊作戦
自販機のボタンを壊すのなら電動ドリルがひとつあればいいし、なにも自分たちでやる必要はないかと。
このゲームは天使よりも、宿主がどう動くかがカギですね。
宿主の方はビーコンは反応しませんから、暗殺者としてよっぽど有利なので(それは相手もだけれど)、宿主が宿主相手に積極的に攻撃してもいい。
天使の用途は囮役と時間稼ぎくらいじゃないですかね、個々の能力がほぼイーブンなら、決定打に欠けますから、切り札に持つべきではない。