貴方に捧げる「ありがとう」 (コバルト文庫) 野梨原 花南 集英社 2009-01 by G-Tools |
シンギンガンド城に、スマートやサルドニュクスと残されたホルイー姫は、女王となることを宣言する。一方、サファイヤは、魔王の八翼白金と一緒にいたのだが…!? 魔王とスマート、永遠に!
仰げば鬱陶しい、我が師の存在
魔王サルドニュクスと流浪の美貌の大賢者スマート様の世直し異世界放浪記。完結。
八様とスマートのイチャラヴもクライマックス、バカバカしく盛り上がりました。
ロリっ子キューティーなくせに、スマートはジゴロすぎる。俺様ちゃんいいよね俺様ちゃん。
恋愛下手な八様がサリタにヤキモチを焼くところが、もうデレデレでステキです。
サリタのお師匠様ラブなセリフも飛び出てきて、三角関係の泥沼化に小躍りしたのは事実です。
スマートとサリタ、性格は違うのに、かけ合いの相性は抜群なんですよね。
スマート、愛されすぎだな。五股かけてるクセに! 男でも女でも構わないクセに!
もう刺されたらいいよー。罪状は乙女心窃盗罪とかでー。
そして相変わらず、女性陣は可愛らしいのですが、それ以上にタフで根性たくましい!
ホルイー王女のほえほえキャラは、クセ者ですね。いつのまにか家来をまとめ上げて女王即位してるし。
ティルファの好き好き攻撃に振り回されるギンガとかを見ていると、恋する乙女って最強だよなぁとしみじみ思っちゃいます。
反対に男どもは、ちょっと壁にぶつかったくらいですぐヘタレること、ヘタレること・・・。
男として情けない上に頼りないばかりですが、しょげている姿が妙に可愛かったりする。
物語のヒロインとしての立場が逆転してない? まあシリーズ毎度のことだけれど。
それじゃあ、いくら威勢がよくとも女性に手玉にとられて振り回されるのも当然かのう。
いまから尻に敷かれるのが眼に浮かぶ。きゃつらのポジティブシンキングには、勝てる気がしない。
野梨原ワールドは、"空気を読む小説"だと思っています。
言葉と言葉の間に含まれたニュアンスを読む小説と言い換えればよいのでしょうか。
描写が具体的ではないというか、登場人物も何を考えているのか読み取り難いんですよ。
なんというか、目の前で女の子同士の会話を聞いているみたいな心境に陥りますね。
「はっきりいわなくても、わかんでーしょー女心を察しなさいよーだからモテないのよー」と存外に言われているみたいで、ちょっと男であることが、辛くなって泣きたくなるときがあります。だって、オトコノコだもん・・・・・・。
脳内に乙女回路をもっていないと、この女の子トークのノリに馴染めないよねぇ。
そんな女尊男卑イズムも慣れてしまえば、大変、面白いのですがね。
さて、これで『ちょー』シリーズも完全に終幕か。名残惜しいものです。
新シリ−ズはまたファンタジーやってほしいなぁ。現代モノはちょっと作風とあわない気がするのですよー。
でも、もしラブコメとか書いたら、相当ベタベタに甘ったるくなるんだろうなぁ。これまでの作品すべてがラブコメだったといっても過言ではないけれどー。