![]() | ギャルゲヱの世界よ、ようこそ! (ファミ通文庫) 有河 サトル エンターブレイン 2009-01-30 by G-Tools |
ある日突然に世界改変の機会を得た俺は、躊躇なく願望を具現化した。『エターナルイノセンス』の現実化である。目指せメインヒロインルート――と思いきや、まさかの複数同時攻略ルート突入! しかもゲームにはないイベント発生! はたして俺と愛するヒロイン達はトゥルーエンドを迎えることができるのか!?
ギャルゲも、ひとつの人生です
現実世界に具現化したギャルゲのヒロインたちと織り成すラブストーリー。
ギャルゲのヒロインを現実に召喚しちゃうお話といえば、本田透の『らぶジェネ!』もアホな話だと思いましたが、それ以上にいろいろとダメな作品。それなのに、なんか面白いから困る!
朝の起床は幼馴染みの目覚ましから、勝手にベットにもぐり込んで居眠りしている義妹、家庭的な義姉の手作りの朝食を食べて登校すれば、クラスメイトには明るい学園のアイドル、そして謎の美少女転校生・・・・。
大好きなゲームに登場する女の子たちを実体化させ、そんな夢の生活が始まるかと思ってみれば、そうそう美味い話があるわけがなく、現実世界にゲーム世界のキャラを投影してしまったことで、ヒロインの周囲の人間関係に不和が広がっていく、現実とゲームとのギャップが物語のポイントになっています。
ゲーム世界とは違って、現実世界では誰かの攻略ルートに入っている間も、当然ながら他のヒロインの時間も同時に進行しているので、不運や災難といった数々のイベントがヒロインたちに次々と襲う。
さらには元から現実に存在していた生徒たちとも人間関係が破綻していき、現実がゲームのシナリオから大きく外れてバグが広がっていく。
「ギャルゲ世界における『ご都合主義』がなくなったら、現実世界においてヒロインたちはどうなるのか」というのをシミュレートしているのが興味深いです。
シナリオを知っている主人公・武紀とっては、ある程度の未来がわかっているようなもので、ヒロインたちにどんな運命が待ち構えているのかを知っているはずなのに、本人は事態を防ごうともせずに、怖気づいてヘタレてばかりいるのには流石に辟易しました。
しかし、「自分はギャルゲの主人公にはなれない、でも、ゲームとは違って現実世界での選択肢は無限大!」というところに気づいてからは、まさにギャルゲの主人公キャラもかくやという行動力でヒロインたちの窮地を救っていく様は、少しくらいスマートでなくとも十分に男らしくて格好よかったと思います。
ヒロインたちも、ただ守られているだけじゃなく、芯の強いところがまた良いんですよねぇ。
ヒロインの設定とストーリーの展開はベタすぎるほどにベタです。というか『Kanon』そのまんまじゃ・・・。
現実的といえば、これほど夢と妄想に現実を叩きつけているお話もないでしょう。
タイトルと表紙だけで、「これはちょっとなぁ・・・」とスルーしてしまうのは、惜しいかもしれない。
ときに私はゲームのヒロインズよりも、ツンデレ少女の高橋さんを攻略したいところです。
態度は乱暴だけれど、親しくなれば思っていたよりいい子で、気風のよいところや照れ屋な一面なんかに思わずフラグが立ってしまいそうです。
私のところにもこないかな、不思議なメール。そしたら、俺、新世界の神になるわ。
![]() | らぶジェネ! (MF文庫J) 本田 透 by G-Tools |
よく考えればこの物語も物語のお話。
そのままループしてこの世界もギャルゲヱになればいいと思った。
ただし気をつけろ! 下手をすれば、そのまま仮想世界から戻って来れなくなぞ!
これまでにも何人もの勇者がそれに挑み、そのまま帰らぬ人に・・・
>「世界は都合よく行かない。」
ハーレムっていうのも現実的には大変じゃないですかねぇ。
何人もの相手がいれば、それだけ複数の要求と理想に応える努力をしなければならないわけだし。
本物のギャルゲにハーレムエンドというのが滅多に存在しないのはそういう理由もあるのかもと思ったり。
それより、田尾さんってどんな本読むんですかね?
disc6まで、それはすごい。
自分は、3巻目以降は積んでます。
ラブコメとしての質はいいんですが、自分はあんまりギャルゲーとかしない人間なので、ノリについていけなくって……。