ダフロン

2009年01月21日

女子高生=山本五十六 2 熱闘 第二次太平洋戦線/志真元

458417959X女子高生=山本五十六2 熱闘 第二次太平洋戦線 (ワニノベルス)
志真 元
ベストセラーズ 2008-11-21

by G-Tools

カリスマ女子高生「高山五十美」をGF長官「山本五十六」役に迎え、『敗北という、同じ過ちは繰り返さない』という決意のもと、史実を超える大艦隊と超兵器群を従え一路ハワイへと向かう日本海軍。だが、米国海軍もリアル世界での諜報活動や奇策を用いて、日本艦隊を迎え撃つ万全の準備を進めていた。

真珠湾の美少女提督

 人伝に「面白い!」と聞き、読んでみたんですが、これは意外な掘り出し物ですね。あまり感想をあげているところが見当たらないので、どうせならと挙げてみる。

 近年、中国との仲が悪化した日本は、自衛隊の拡充を図るため、全国の高校生を対象に、第二次世界大戦をベースにしたオンラインFPS『セカンド ウォー リアル』を教材として配布した。
そして防衛大臣・海波繁は、自校のサッカー部を全国制覇へ導いた女子高生監督・高山五十美を大日本帝国海軍連合艦隊司令長官・山本五十六のアバターとしてスカウトする。
全世界のプレイヤーが戦時国の兵士のアバターとなって戦争を繰り広げるゲーム世界において、一国の軍隊の指揮権を預けられた女子高生提督は、日本の敗戦を覆せるのか、というお話。

 まあ簡単にいうと、第二次世界大戦を元にした架空戦記ものに、ライトノベル要素を添加したカンジです。
あと、かなりネタが入ってますよこれは。ガンダムネタとか、「ハルヒダンス」なんて言葉も出てきますし。
ほぼ元ネタがわかってしまう自分が悲しいやら切ないやら・・・。

「俺は戦争を大好きになるぞー!」

 ヒロイン・五十美のセリフです。現実で叫んでたらぶっちゃけヤバイ人ですが、まあゲームだからね。
戦争なんて汚いことだらけだけれども、やるからには徹底的に楽しんで、そして絶対に勝つ! という意志の込められた、作中でもっとも印象に残っている名言です。
もしかしたら『中の人』は、自分より人生経験があったり、軍隊経験がある人かもしれない。そんな周囲の将校アバターたちを叱咤激励しながら、軍隊を切り盛りしていく。リーダーシップあふれるカリスマに惚れ惚れしますねぇ。

 ゲームのプレイヤーは、当然、第二次世界大戦の歴史事実を学んで参加しているので、常に未来の展開を先読みしつつ、開戦予定のフィールドの状況や空母や戦闘機といった兵器の開発を進めたりと、戦略の読み合いが非常に濃いです。兵器の設計方法や欠点などは、リアル現代からの『後知恵』によって分かっているので、史実を前倒しにした最新鋭兵器が続々出てくるのは笑えます。
『真珠湾攻撃』の時には、ゼロ戦のハイグレードカスタム機と第二次世界大戦中での最強戦闘機ムスタングが空中戦をやってるんですから。もう歴史無視しまくりなんですけどいいのか!

 もちろん、ゲームだからなんでもアリというわけれはなく、生産力や技術力は国の格差がありまくりで、その上でシミュレートされているわけですが、当時の常識としてはありえない戦術戦略が飛び交うところはとても凝っていて思わず唸らされます。
というか、五十美の作戦は卑怯すぎます。戦争のロマンとか、ノスタルジーを見事に粉砕する非道ぶりですね。
ロマンに生きる男の脳みそでは思いつかない戦術眼を持っているかもしれないなぁ。
若者の柔軟さと大人の悪辣さを備えた恐るべき女子高生。なんかいやだなそれ・・・。

 2巻終了時点で、ようやく「真珠湾攻撃」が終わったところまで時間が進みましたが、先は長いなぁ。
始終、五十美が優勢に進めていたようにみえるけれども、連合国サイドには『水爆』という切り札があるからなぁ。逆に日本側が『水爆』を開発しちゃって、アメリカに落すという展開も面白いかもしれない。

まあシリーズが続くようなら、追ってみようと思います。
posted by 愛咲優詩 at 00:00| Comment(0) | TrackBack(0) | その他 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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