ばけらの!2 (GA文庫 す 2-2) 杉井光 ソフトバンククリエイティブ 2009-01-15 by G-Tools |
GA文庫編集部の邪な企み(『ばけらの!2』に水着の絵がほしい)により、急遽沖縄行きが決まったばけもの作家たち! 但し参加できるのは5人まで。女性4人に対して男性ひとりの席をゲットできるのは、ヒカルか、それともエムか!? 結論はラーメン対決に委ねられた――!!
だれにとっても大切なもの
新人作家の杉井ヒカルと同業者の化け物美少女たちとのラノベ作家生活を描いたパロディラブコメ。
自堕落な生活を満喫するイヅナの愛くるしさは、動物愛護団体が全力を挙げて保護すべき。
普段はヒカルのことなんて興味がないといいながらも、かまってくれなかったり、他の女性と接触したりするとすぐに機嫌が悪くなったり、ヒカルの部屋に降って沸いた美少年の存在にすら嫉妬する姿は、まさしくツンデレですよ。
そしてイヅナに勝るとも劣らないツンデレ気風をなびかせるツンツンウェイトレス・デニ子さんが今日も眩しいです。このファミレスはいったい何処にあるんだ、誰か潮騒を・・・。
ストーリーは「ラーメン料理対決」、「みんなで沖縄旅行」、「新・化け物作家キャラ登場」の三本立てです。
まあ一話目はイヅナがぶくぶく肥えるお話なのですが、野菜嫌いの彼女になんとか野菜を食わせようと知恵をしぼるヒカルは、すっかりイヅナの世話係、飼育係が板についてしまっているようでニヤニヤ。
しかし、本の帯にもあるように、そんな手間かけてラーメン作ってるヒマあるなら原稿書きましょう。
そんなだから沖縄旅行へ行っても、一人寂しくノートPCと睨めっこしてなきゃいけないわけですよ。
海なのにヒロインの水着分が足りない・・・。この口絵はフィクションです。実在のイベント、光景とは何の関わりもありません。つーか、ただ遊んできただけじゃまいk
最終話は北海道からやってきた女好きの美少年・鴻池ジン(もちろん、化け物作家)に、何故か懐かれてしまったヒカルが、池袋に住みたいという彼の望みを叶える為に、化け物作家たちの元締め大物作家から与えられた難題を考えるというお話なんですが、さて問題、ここでキャラのモデルは誰でしょうか?
大物作家の方は、「富士見文庫レーベル」、「八年ぶりの新シリーズ」、「最新刊は学園バトルもの」というキーワードからすると『いつか天魔の黒ウサギ』の鏡貴也だと思われますが、鴻池ジンの方はヒントが少なくてわからない。
元キャラ推理をしている和泉うららさんの感想を読むと、ああ、確かにキャラクターから連想してあの人っぽいですね。北海道在住だったのか。北海道作家というと三浦勇雄しか思い浮かばなかった。作者のプロフィール情報までは集めてないからなぁ。
私個人としては、サイン会に出向いたり、本人のブログを眺めたりといった「作家萌え」のファン心理はさっぱりないのですが、そうしたものを抜きにしても、普段は知らない作家さんたちのライフサイクルや本音を覗けて興味深い。まあ当然すべてが事実ではないのでしょうけれどね。最初からフィクションとして楽しむ分にも、コミカルタッチなストーリーなので誰にでも読みやすいと思います。
セルフパロディは文化の衰退の兆しなんていわれていますが、週刊少年ジャンプで連載中の『バクマン。』なんかは、あれを読んで集英社に投稿にやってくる新人さんが爆発的に増えたそうな。
できれば、この作品もそういった作家志望の人々に行動を起させる起爆剤になってくれたらよいと思う。