![]() | いつか天魔の黒ウサギ1 900秒の放課後 (富士見ファンタジア文庫) 鏡 貴也 富士見書房 2008-11-20 by G-Tools |
「私の毒をあなたに入れる。決して離れられなくなるように」--かつて交わした大切な約束。忘れていたその記憶を取り戻した時、平凡な高校生・鉄大兎の、新しい“日常”が始まった。学園リバース・ファンタジー!!
愛に生き、愛に死に、愛に蘇る
"最古の魔術師"と呼ばれる少女と幼い頃に絆を結んだ少年が九年の月日を経て再会する物語。
平凡な日常を、平凡なままに過ごしてきた主人公・鉄大兎が、ふとした事故により死んでしまい。それをきっかけに15分間に7回まで死なない限り生きている身体と封じられた記憶が蘇り、幼い頃に目の前で連れ去られた最愛の少女ヒメアを取り戻す戦いを繰り広げていくんですが、別れてから九年も経ってもお互いを強く想い合い続けている二人の姿に切なさで胸がいっぱいになります。
大兎もヒメアもいまどき珍しいほどの純心純愛っぷりなんですよねぇ。囚われの身で、どんなに辛くても、苦しくても、弱音を吐かず、諦めず、大兎を待っているヒメアがとっても健気。大兎も記憶を無くしていたからといって、いままでの怠惰な自分に言い訳をせずに、まさに命を賭けて愛しのヒメアに自由を取り戻すために強敵に立ち向かっていく様には、男子としてかくあるべしという潔い格好良さがあります。
ある意味、大兎のライバルともいえる、もう一人の主人公である紅月光と悪魔っ娘・美雷のカップルは、逆に意外なほど笑えますね。ドSな唯我独尊男とその下僕のイマドキ娘による、SMプレイなのか、ノロケなのかどっちにも聞こえる会話の数々がウケます。まあ紅月光もそれなりに美雷のことを大事にしているようですが、その愛情は腹黒すぎる・・・・・。こちらのペアも負けず劣らず見所です。
ヒメアを巡って始めは対立していた大兎と月光ですが、二人にとって共通の敵が現れて、遺恨はあるけれどなし崩しに協力して、息の合った連携プレーを見せていくところは、無性に燃える展開でした。こういうジャンプ的なバトルシーンは大好きです。
ただ、展開がジェットコースターすぎて、やや唐突な印象はあったかなぁ。ストーリーに慣れるまでに、すぐ次のストーリーが走り始めて追いつくのが大変、みたいな。序盤だというのに強さのインフレが激しい気もするのが、やや今後のシリーズ展開に向けて不安なところ。自由を取り戻した大兎とヒメアには、もとの平凡な日常を楽しんでもらいたいが、そうはならないんだろうなぁ。
ともあれ、泣ける話です。『伝勇伝』の方と今月から隔月刊行ということなので、続きはそんなに待たずに読めるかもというのが嬉しい。


