| 機械じかけの竜と偽りの王子 (電撃文庫 あ 27-1) | |
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奴隷の少年イアンは、戦場から逃げる際に、偶然、目の前に現れた"王族しか動かすことが出来ない"とされる特別な機巧鎧・エリュシオンを動かすことに成功してしまう。彼に窮地を助けられた王女フランシスカは、イアンを腹違いの兄だと信じ込んでしまい・・・。
この戦乱の世を生きる
奴隷の少年が美しい王女さまのために偽りの兄王子となって戦乱を生き抜いていく戦記ファンタジー。
これは凄い!と思わず唸らせる作品でした。
ファンタジーで準ロボットものという世界観もおいしいのですが、人物関係から物語背景まで、妥協を許さずとことんリアルな描写で描ききっているところが秀逸の一言。
ベテラン作家の書いたファンタジーと比べても一切遜色のないハードファンタジーに仕上がっています。
本来、戦いを忌避する大人しい性格の奴隷少年イアンが、何故か王族しか扱えない特別な機体を操作できることから、心優しい王女フランシスカに兄と間違われ、戦争の犠牲となる覚悟の彼女の身を守るべく、滅亡寸前まで追い込まれた王国の王子となって立ち上がる姿が燃える、燃える!
王国で唯一、正式な王位後継者であり類稀な美少女でもあるフランシスカの周囲には、味方であっても次期国王の座を狙う有力貴族たちの愛憎が渦巻いていて、かなりドロドロなんですよね。国の存亡の危機がかかっていると言うのに何を内輪もめしているのかと彼らの頼りなさにやきもきさせられる。
そんな状態で突如現れた兄王子を偽るイアンの存在に騒然となりつつも、策士ヴィクトの立案した作戦によって、ようやく軍隊が一致団結して国防に動き出すシーンは興奮に震えました。
まさにこれが歴史の新たな幕開けといったような予感すら感じさせる。歴史観も魅せられるファンタジーとは素晴しい。読み応えの重厚感もたっぷりです。
ちょっと残念な点としたら、主人公機以外は、ほとんど似たような性能の量産機というところかな。
戦闘シーンは、ほぼ接近戦でぶつかり合ってるけだし、もっと機体ごとに遠距離攻撃型、防御重視型といったような特色あって戦場での役割が分かれていた方が、読んでいて面白いし、シュミレーションゲームのような戦略性も描けたんじゃないかなと思いますねぇ。
とはいえ、まだまだこれからいくらでも広く深く展開していける設定なので、今後の躍進に期待大。





