ダフロン

2008年10月30日

サムライエイジ 乙女たちの初陣っ!/みかづき紅月

4199051872サムライエイジ乙女たちの初陣っ! (徳間デュアル文庫 み 3-2)
みかづき 紅月
徳間書店 2008-10

by G-Tools

もう一度狂戦士状態になってしまったら、今度こそ千は・・・・・・。ひとりで親友の千を守って戦う決意を固めた弥だったが、その決意も早々、必殺剣<桜花爛漫>が破られてしまい・・・・・・。

乙女心、満開!

全校生徒が刀を持ち歩き、力ですべて解決する学園で、男よりも男らしい少女二人が戦いの中で友情を育んでいく学園剣客アクション。

なーんか、すっかり弥も千のあしらいに慣れてきているじゃないですか。
本人が何を弁明しても、どうみたって弥は千の嫁だろう。その百合をよしとする。
相変わらず戦ってばかりですが、そうした中でも夢の女子高生ライフを満喫しようと、どこの団にも属さないとお互いに誓い合うも、ところがその甘さが今回は危機を招いてしまいます。
中間考査戦という全校生徒を巻き込んでのバトルロイヤルの開催により、他を圧倒する実力を持つ彼女らも、組織立って襲いかかって来る敵に防戦一方になってしまうというのは、これまた読者が盛り上がる展開を作ってくれるじゃないですか。

並居る強敵の中でも学園トップの団・<紅>を率いる耶麻先輩がいい味を出しているんですよね。
いかにも野蛮人な見た目通りに豪放磊落な兄貴キャラなんですが、デリカシーがないようでいて、なにくれと弥のために心配りをしてやっている優しいところもあったりする人間味溢れる性格がいい。
まあ見ているだけで暑っ苦しくて、相手をすると非常に疲れるお人だとは思いますが、このクドすぎる濃ゆい個性が、また周囲の人を惹きつけるカリスマってもんなんでしょうね。

お互いに一緒にいたいと思っているけれども、その覚悟の違いからすれ違っていってしまう弥と千ですが、どちらも自分のしたいことだけ一方的に考えて、相手の意思を無視してしまっているのは、それはさすがにエゴの押し付けってもんでしょうよ。
一人ぼっちで戦うことの虚しさは、弥だって分かっていたけれども、ようやく自分の背中を託すにたる存在と出会えた喜びで、肝心の千の想いを見失ってしまっていたのかな。
弥の呼び声に応えて窮地に駆けつける千の格好良さに痺れるわー。
二人して背中合わせで戦う姿は、まさに親友というよりも、戦友という言葉がぴたりとくる。

戦いが終わった後で、それまでの感情を引きずらない蘇芳学園の生徒たちの侠気もいいなぁ。
この物語に出てくる登場人物は、それぞれキャラは立ってるんですが、みんな「覚悟」の二文字を背中に張って、いつも真剣に全力で生きていて、誰よりも眩しく輝いてみせようと信念を抱いてぶつかり合う、その激しくも気高い生き様に魅せられるんですよ。
それでいて主人公は、誰よりも低い志でありながら、決して折れずに自らの乙女心を貫く姿を見せるんだから、男とか女とか関係なしに惚れ惚れしてしまう。

男心と乙女心が実に見事に調和した作品。
posted by 愛咲優詩 at 00:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 徳間文庫 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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